第339話 トカゲ氏を招待する

 町は人が増え、居住区もそれなりに整い(冬の期に対する不安は多め)、周囲整備をしつつ繁栄しはじめています。

 進捗としては『魂極邂逅』は早々に四階層目が開き、クノシーの北、サティアさんの住む里の遠くない北に宿泊施設を併せ持つ入り口設置してしまうたまちゃんです。そして冬か春には街道沿いで入り口を開けてもいいだろうとたまちゃんは考えているようですよ。(王家はやっぱり禁止)

『蒼鱗樹海』もようやく二階層への道が開き、鉱石鉱物などの採掘資材が増えてきましたよ。モグラやゴーレムが徘徊しているのが二階層ですね。

『ティクサー薬草園』もそろそろ三階層への入り口が開きそうだそうです。時間制限そのままに。

『天水峡連』は国内地下水脈の循環に問題はないそうです。人が気がつかない入り口をひっそり開けてはいるそうですよ。急流の中とかに。(鰐配備で)

 ということで、弟君のトカゲカシリ氏をわし掴んで管理空間に拉致したネアですよ。頑張ったです。

「弟君と契約しているトカゲ氏と契約するつもりはないですよ」

 まず、宣言です。

「と、いうわけで。ゲストのトカゲ氏ですよ」

『ティクサー薬草園のバティ園長です。……探索したことのある迷宮の方ではなさそうですね。残念です』

 園長、教会の尼僧長に着任する前は冒険者として活躍してらしていろんな迷宮を探索したらしいですよ。

 たまちゃんと天水ちゃんはひっそりと引き篭もっているようですよ。

『……なにようぞ』

 おっさん声ですね!

「オマツリ情報ください。監獄氏は情報開示制限されてました。園長以下は若手すぎて情報が有りません。これまで接触のあった迷宮さん達は支配するかどうかで煽ってくる方々主体でした」

 園長が情報を持っていないことに対して申し訳なさそうな微苦笑を浮かべてますよ。気にしないでね!

 知ってそうな天職の声さんもたぶん情報開示制限持ちでしょうし。

『……。勝負事よな。支度期間ゆえ……暗躍する小蝿は多いな』

 今、支度期間なんですね。

 プリン(茶)どーぞ。

 うろんな眼差しをトカゲ氏にむけられましたよ。

「オマツリの主体は迷宮ですか?」

『……行動は迷宮意志だが』

 だが?

『それぞれの仰ぐ管理者のための手足でもある』

 それぞれの仰ぐ管理者、ですかぁ。

「ペナルティもありますよね?」

 たぶん監獄氏の管理者は敗北してますよね?

 開示制限とか露骨にペナルティ。

『……『流玄監獄』だけが管理者麾下に残留した。他の迷宮は管理外に置かれたためにこの大陸は沈まなかった。……現段階で開示できるはここまでだな。パラプリン、量を寄越すがいい』

 情報開示してやったから報酬寄越せですね。いいでしょう。エリアボス蛇、園長、プリン(茶)をゲストに貢いでください。

 エリアボス蛇もプリン(茶)つまり麻痺プリンを好むんですよね。『シビシビ好キ』とちょっとアレな発言をしていたんですが中毒かってくらい気に入っているようなのでトカゲ氏にも出してみました。ちょっと毒だけど実害がない(自己処理できるだけの危険物は危険物)物って美味しかったりするそうですからね。

 あれ?

 大陸って言いました?

「沈むとこだったんですか?」

 怖いこと言ってませんか? トカゲ氏。

『アドレンスぐらいの大きさの島はいくつか沈んだな』

 ぇえ。

 管理下になければ助かるんでしょうか?

 プリンの瓶から顔を上げて『管理者のない迷宮はとられることを覚悟せよ』とおっしゃいますよ。トカゲ氏が。あ、頭のてっぺんにプリンのカケラが。

 つまり、情報も筒抜けになりそうですね。

 迷宮さん達の方が私より頭がいいのでそれは困ったことになりそうですよ。

『主人様。死なば諸共。かかる火の粉は消しつくしましょうね』

 にっこりと園長が凄まれますよ。コレ管理下から外したら個人的に私が復讐される奴だ。私でもなんとなくわかる。

『経験を積むために貴方の魔物で『蒼鱗樹海』を攻めてくださいませんか? 少数で』

 園長、なに言ってらっしゃるんですか?

『パラプリン食べ放題つけましてよ』

 園長!?

『乗った』

 正気ですかトカゲ氏!?

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