第307話 準備は大事ですね

 迷宮入り口の町『たまちゃんチ』正式名称未定まで道を拓きに行きますよ。

 同行するのはいつも通りに警備隊の方々と冒険者、あと移住予定の集団となります。まぁ私、ネア・マーカス伐採係りは基本先頭にいるので関わらない感じですね。

 移住予定の集団は最年少十二歳で各ギルドで十日から夏の期の大半を過ごした身元保証されたアドレンス王国国民となっています。優秀で四日交代するたまちゃんチ支部長さんのもとで修業することになる予定だそうです。

 確かにスキルギフトも手に入りやすいですからね。

 そして、何人かは料理人だったりもするそうです。複数なのは休暇も迷宮に潜るタイミングもあるからだそうです。ごはんだいじ。

 一番大きなポイントは夜起きていられるのならば、『骨狗』や『屍女』による教えを受けることができるからだそうです。みなさんせめてとばかりにティクサー薬草園で魔核を安全に集めてらっしゃいましたよ。誰かが『浄化』を使えるのならすぐ魔核は手に入りますしね。

 これでティクサーは空いた教会や家屋に人がまた入居できることになります。

 移住者第一陣は二十名くらいだそうですが。秋の期中に状況を見ながら増やしていく予定だそうです。

 警備隊就職脱落組の人とかも混じっているそうですよ。(最低限の防衛力)

 秋の期に入って帝国の学都やその他の国に出稼ぎに出ていた国の上層部やその家族がゆっくり帰国しているらしいですが、現在帰国、王都で巡回コースと範囲を指定される。巡回。巡回先の状況によっては防衛に留まったり、先任者と話し合いの後コース変更などもあるそうですよ。人が住めなくなっている町の確認とかが数多くあるそうです。

 西には獣の国北には岩山の国東には草原の国、南にも中洲の国という水の多い国があるそうなんですよ。

 王都から草原の国の国境線とても近いんですよね。ティクサーはあんなにはなれているのに。少し不思議です。それとも削り取られたんでしょうかね? どっちかが。

 今回選ばれた十二歳冒険者七名にはある程度の容量がある荷物袋が支度品として提供され、そこに三日分の食料、水。毛布とマント、あと簡易ナイフのセットが入っています。それを持って『たまちゃんチ』で一冬を過ごすことが依頼になっているのでみなさん思い詰め気味の表情です。待っているのは基本快適な生活だと思うんですけどね。十二歳以上の大人にも荷物袋は提供されています。必要物資は自己責任ですが。だってできることはかなり変わりますからね。成長期と大人。

「周りに気をつけて伐採後の資材を集めるように! ティクサーに戻る商人に資材を売って荷物袋の容量を調整するのも技だぞ」

 今日もご一緒のドンさんがちびっこたち(私よりは年上)に指導していますよ。

「おはようございます。よろしくです」

 伐採はネアがしますよ。

「クズ狩り幼女っつったら聞いたことくらいあるだろうが、危ないから仕事中の幼女には近づかないようにな!」

 ちょ!

 ドンさん何言ってるんですか!?

「伐採後、魔物がわく。警備隊や俺らベテラン勢が間引くが危険はあるからな!」

 あ。

 必要なやつでした。

 確かにそうです。危ないものでしたね。伐採行軍。

 あとティカちゃんは戦闘慣れしてきているだけですね。普通十歳では迷宮探索許可おりませんから。忘れてました。薬草園が特別なんですよね。


【砦むこうをどうにかする訳ではないんですね】


 根本的な基礎魔力が足りませんからその対策をしてからです。私だってちゃんと足場の基礎を固めておかないとロクなことにならないってことは学んできてるんですよ。天水ちゃんじゃないですが、ブチノメスにもやり方は複数あります。なにが効果的かも調べないとですし、それには以前のケモノの国のことだって知る必要が出てきます。もちろん、現在の状態も情報は必要なんですけどね。

 町の人たちは、むこうのことを禁忌視してますから難しいですし。あとはたまちゃんや天水ちゃんから情報を拾うとなりますけど、精査してもらうのに流し込む魔力はまだ足りていないと私は考えています。今回の行軍ついでに『石膏瓦解』支配にチャレンジして底上げをしようかと。


【支配域増やすんですか】


 え?

 まさか。

 キャッチアンドリリースですよ?

 ノリはスポーツフィッシング?


【きゃっちあんどりりーす】


 はい。

 キャッチアンドリリースです。

 だってめんどくさいですよね?

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