第304話 ウズラ狩りは自立の一歩
斡旋業と職業訓練をお手伝いしつつ、ティクサー薬草園でのウズラ狩りをしながら教会で保護されている人たちの自立支援を続けているネア・マーカスです。正直町の環境悪化防止業務と思ってやってます。マオちゃんがガラの悪い人たちに怯えて勢い余って燃やしちゃったりすると居心地悪くなるじゃないですか。事前に防止策は必要ですよね。もちろん、燃やしちゃった結果、マオちゃんに『お姉ちゃんコワイ』なんて言われたら泣きますよ。せめて自制可能な治安環境を整えていかなくてはいけないと思うのです。
【貴女が、燃やすんですか……】
マコモお母さんかも知れませんよ?
まあ置いときましょう。
せっかくの『ティクサー薬草園』ですから。
弟王子はギフトスキルで効率のいい木の切り方を実演中です。アレたぶん武器の扱いを効率良くするスキルですね。切れ味増強とかそのへん。そして弟くんが嬉々として真似っこしてはそんなスキルを持っていないためか、勢いよく転げてますよ。周囲の大人たちに微笑ましく見守られています。
「これがスキル二段跳びなー」
軽い跳躍で果樹の上部へと移動です。すっごいお猿ですね。
「あんまり枝に負荷をかけないでよ。見てて怖いから」
ティカちゃんが樹上の弟王子を見上げていますね。
「このくらいの高さ大丈夫だ。実、落とすぞぉ」
いやぁ、たぶんティカちゃんは枝の細さとか強度を危惧してると思うんですけどね。
広げた布の上を目指して実を落としてくれるのはちびっこたちには助かります。果樹は子供達が実をもぐには高すぎるし、茂みの木苺系は棘を伴うことも多いので危ないんですよね。
ティクサー薬草園で伐採や収穫技能を習ったり練習していると体にそれなりに魔力が循環し、健康化しますし、余分に採れた分はちゃんと報酬として分配され、自立資金になる予定なんですよね。現場で勧誘もよくあることですし。
『魂極邂逅』発見でティクサーからも人が減っているという問題が増えたんですよね。『魂極邂逅』はティクサーの町から北に鳥馬を使って半日ほどの距離にあるのだそうです。ある程度の冒険者なら朝食後出て昼の時間ぐらいにたどり着く距離だそうです。ただし、道はほっそいけもの道つる草多しだそうです。しかも街道外なので他国に対して開放するかしないかの問題も発生している模様(しかも迷宮が王家を拒否)ちなみに各ギルドはなんとか育ちはじめた副官候補を交代で配置することにしたそうですよ。四日毎に交代要員を送るそうです。
狩人のおじさんは「とりあえず暴れ蔓草狩りだわ」と木こりのおじさんと頷き合ってましたよ。
「あれはなぁ、アレだ。たまちゃんチはアレだ。やばいわ」
と空を仰いでらっしゃいました。やばいの?
元廃村は『たまちゃんチ』と呼ばれてます。本人も『しかたないですね。たまちゃん家ですから』と一部整備に屍女と骨狗を活動用魔核と引き換えに貸出しているそうです。
というか、むちゃくちゃ親しまれてません? たまちゃん。
……あとで確認しておこっと。
「姉さん、またぼんやりしてるとティカちゃんに叱られるよ?」
え!?
「ぼんやりしてないよぅ!?」
ちょっと考えごとだよ?
それにティカちゃんはウズラ狩りに移行しているし。
人(複数)で追いかけて囲んでから殴るって囲い猟で。
走り回るだけでも体力つくしね。うん。
ちなみに言うとトロちゃんはサクッとウズラの首を甘噛みで持ってきて生け捕ったウズラを弟くんに献上しています。トロちゃんの実力は高いな。そして、これ、接待強化だよね? それとも弟くんに生きのいい肉を食べさせたいだけ?
「今日は卵かな、お肉かな?」
お姉さん、弟くんの作るオムレツ好きですよ。お肉も卵もいいですね。
まぁ両方とも確保しましたけどね。トロちゃんと弟くんで。
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