第295話 染織ギルドへ
それぞれのギルドで案を出し合い改良しながらよい屋台。もとい祭りを開催しようという企画なので屋台見積もりも軽いギルドマスター会合に向けての根回しの一環だと商業ギルドの事務員のお兄さんに教えてもらったネア・マーカスです。
魔道具、錬金術師ギルドが屋台火力で協力しなくとも他にいくらでも参加する余地はあるそうです。
というわけで私は今日もお使いです。
薬師ギルドと染織ギルドです。
薬師ギルドはおじいのとこですね。
染織ギルドは教会で尼僧をしていた方が一人還俗して見込みある孤児たちを引き取り運営しているそうです。まだまだなので教会と領主様からの支援を受けているそうです。
オルガナさんが三日に一度お手伝いに入ってるそうですよ。三日に一日はルチルさんのお手伝いだし三日に一日はおじいのお手伝いっておやすみとってるんでしょうか? オルガナさん。
今日も弟くんが一緒ですよ。
染織ギルドでは尼僧様が小さい子達に糸紡ぎの手ほどきをしていましたよ。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは」
「先生、お客さまぁ」
舌ったらずぎみの声がわさわさ広がっていきますよ。
「あら。ネアにハーヴェスト。おひさしぶりね」
元尼僧のカイエ様です。
尼僧様と呼びかけると怒られます。
「商業ギルドからお問合せ書持ってきました」
「ありがとう。お祭りの参加可能作業の確認ね」
染織ギルドでなにを参加するんでしょうか?
不思議そうな私を見てにこりとカイエさんが笑います。
「今年は特に目立つことはできないでしょうね。来年はお祭りの日除け天幕とかを織れたら嬉しいわねぇ」
協力作業としてハチマキやバンダナを作って運営側の人の区別をつけやすくするそうですよ。
裏庭に一株羊草が移植されていてそこから糸材を確保し、運用しているそうです。
つまり、羊草をしばけて管理できる人材も育成しているそうです。「マグレ当たりでも一撃でウズラを倒せればお肉よ。と言ったら将来に向けてみんな張り切ってるのよ」とカイエさん談でした。
羊草の栄養確保はプチスライムの魔核だそうです。強い魔物の魔核を与える方が品質は上がるそうですが、つまり、羊草も強くなるので今はプチスライムだそうです。今は。なんですね。将来的には羊草牧場をつくりたいとおっしゃっているので野生化させないようにだけお気をつけくださいと思いましたよ。
見せてもらった羊草はすっかり子供達に可愛がられて家畜化していましたね。こっそり不審者撃退もしているようです。子供達も群の一員認識っぽいですね。羊草。
ふと物干し場に吊るしてある黒い糸を見て何かと聞けばオルガナさんが「鉄荊の蔓に糸化をかけたものよ。生地に織ると端の処理が大変なのよね」と笑ってらっしゃいました。金属素材がこんなところで別用途に大量使用されてる!?
ルチルさんにも伝えたのでちょっとルチルさんがお弟子連れて採りに行ったらしいです。お弟子ってあの三兄弟ですよね? 聞くと真ん中の子だけらしいです。
「秋のお祭りにむけて準備していくって楽しいわね。わたしがここの子達に教えてあげられることは少ないけれど、わかっているギフトスキルの使い方を少しでも伝えておきたいわ」
にっこり笑って「無茶ばかりしていてはダメよ。ネアのようにできる子ばかりでもないんだから」と言われましたが、私、どっちかと言えば出来ない子の部類だと思うんですよね。だから、たぶん、大丈夫ですよ。
そういえばティカちゃんとちょっと話していたんですが。
「オルガナさんはルチルさんといつご結婚するんです?」
ルチルさん、基本的に優しいですけど、オルガナさんへの扱いはすこーし違いますよね。オルガナさんも男の人全般を苦手とする割にルチルさんには対応穏やかですよね?
気ーにーなーるー。
「ふぇ!? ルルさんはお兄ちゃんの友達で! わ、わたしなんかがそんななそんな」
あ。壊れた。
やっぱりこれは特別な好意的さ! 少なくともオルガナさんからは。
あとでティカちゃんに報告しとこ!
弟くんがじとーっとした視線を送ってきますが恋バナで盛り上がるのも大事だと思いますよ!?
まぁ、壊れたオルガナさんの様子にまわりの子達が心配モードなのでやり過ぎましたかね?
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