戦国乱世の英雄譚
いのさん
第1話 時は戦国時代
時は天文3年(1534年)5月12日、戦国乱世の時代に俺は美濃国(現在の岐阜県)の一地方豪族の次男として生を受けた。
話は変わるが時を同じくして尾張国(現在の愛知県)にも同日、戦国乱世の三傑の一人である織田信長が誕生している。・・・冒頭から話が飛んでいるようで、これじゃ先が怖い!
まあ、なにはともあれ俺はこの世に生を受けて・・・驚いていた!?
俺にとっては2度目の人生なのだ!俺には前世の記憶がある!!
前世の俺!?
勉強はあまりできなかったが、高校時代は剣道部に在籍して個人でインターハイにも出場して準優勝した。・・・そのおかげで大学からスカウトされ勉強しなくてよいと分かった途端、好きな事とゲーム三昧だ。
ゲームは特に戦国時代のシミュレーションゲームにはまり、夜も寝ないでゲームをやり続けた。
そのゲームの途中で寝落ちして目を覚ましたら、何と戦国時代に生まれていた。
前世の俺はそうは言っても高校生、ゲーム三昧していたのは自宅の中だけ、高校には毎日通って体を動かすことが好きな俺は他の運動部に顔を出してあれこれやって見た。・・・うちの高校は色々な運動部が国体やインターハイ出場して上位を独占することで名を売っている学校である。
それだけに本当に色々な運動部がある。
そのなかでも最初は特に美人の弓道部主将に御近づきになろうと弓道場に顔を出して弓道をやって見た。・・・下心はあったが弓道の腕前としてはかなり良く的の中心部を射ていたので良い方だったと思う。
美人弓道部主将の従兄がやっているボディビルもやって関心をかおうとした。
そのおかげで亡くなるまではしっかりと身体作りの方法を覚えた。
その美人弓道部主将が空手部の主将と付き合っていると聞いてボコったら・・・当然竹刀や木刀は使わずに素手でやっつけたのだが、この話を聞いて美人弓道部主将に弓道場への出入り禁止を喰らった。・・・トホホ初恋よさらば!・・・そういえばこれまで剣道三昧で女の子と付き合った事が無い。
今度は上品な馬術部主将に御近づきになろうと馬場に行き馬を乗り倒してしまって出入り禁止を喰らったり、暗い影のあるライフル射撃部の主将に御近づきになろうと射撃場に行ったはいいが何丁ものライフル銃を分解して怒られたりしました。・・・分解清掃だけでライフル射撃を一度もさせてくれなかったのでまとめて分解して部品が分からなくなったのです。・・・トホホ前世では結局一人も御付き合いできず童貞も卒業できませんでした!それでも今世は戦国時代、正妻、側室ハーレム一直線だ!
他の運動部に顔を出して運動をやる以外は寝食を忘れて・・・食は忘れていなかったか?ゲーム三昧の日々!
色々な武将をやり込んで日本統一を何度かやり、織田信長で日本統一をやり終わった途端視界がグニャリと歪み寝落ちして目を覚ましたら赤子だったのです。
そのゲームのおかげで・・・?何はともあれ戦国時代に転生した。
転生してからの俺は体を鍛えまくった。・・・理由!それはあまり年の離れていない兄貴がいる。その兄貴とは何かにつけて俺を比べて次期当主に兄貴がいいの俺がいいのと家臣どもがうるさい。そのおかげで生まれた途端の俺を兄貴擁護派から命を狙われる始末だ。
戦国乱世で下剋上やお家騒動が頻発している世の中だ自分の身は自分で守る!
赤子の時から這い這いが出来るようになった途端、プッシュアップ・・・『腕立て伏せ』を始め、歩けるようになれば昔取った杵柄とばかり剣術修行だ!
剣術修行と言っても俺の産まれた美濃国の一地方豪族程度では教える人も薪割り剣道で格好も何も無い。
それで俺は木切れを持って庭の木を打ち続ける。
ついにはその庭木を打ち枯らして怒られてしまった。
庭木が駄目ならと山に入り小高い山の上に立つ一本松の巨木に向かって木剣を振り続けた。
山の中は獣の天国だ。
剣の稽古為に山に向かう間にその獣に出会うので弓で射る。・・・う~ん美人弓道部主将のおかげで弓の腕は今世でも上々だ。
ゲームをしていて目を悪くした前世に比べれば今世では視力は凄まじい程良い!
それのおかげもあって遠い獣も百発百中だ。
そんな日々を過ごしているうちに、ついには小高い山の頂上に立つ一本松の巨木を
俺は山に入ると兎を取ってきたり、時には鹿を獲ってきたりして家臣や城下の者に分け与えていたのでそれ程怒られなかった。・・・う~ん善行はするべきだ。ただその時は10歳になるかならないかの頃、兎や鹿なら良いが猪や熊と出会うと尻に帆掛けて逃げ出していた。
一本松を打倒してから以降は立ち木が駄目ならと大岩を叩いているが、流石に岩をも砕くというわけにはいかないようで、自分でこしらえた木刀を何本もへし折っている。
一本松を打倒してから2年が過ぎた天文16年(1547年)で、俺は13歳になって元服いわゆる成人式が行われて、晴れて成人の仲間入りとなった。
この年美濃の国の斎藤道三と復権を求める守護大名であった
元服して初陣がこの戦いである。
家臣の少ない一地方の豪族では13歳にしかならない俺でも元服させれば立派な戦力になるのだ。
俺の初陣の格好は胴といっても木を紐で括り付けたものに、頭は頭部に鉄板ならぬ木切れを取り付けた鉢巻を締められた。・・・一応黒漆で木は塗って鎧には見えるが防具としては心もとない!
これではあまりに可哀想と俺の親父が城の宝物庫・・・と言っても土蔵の中にしまわれていた刀を持ち出していいと言われて鍵をあづかった。
土蔵の中は蜘蛛の巣だらけで
思った通り土蔵の中には一応、桐木でできた刀箪笥に何振りか入っていたが手入れもされていないのでその刀全てが赤錆の浮いた、いわゆる赤鰯ばかりで気に入る物は無かった。
蜘蛛の巣を払い良い刀が無いかと探し回っていると、床板が腐っていたのか土蔵の下の穴倉に転落した。
そこには桐木で出来た箱が置かれていた。
何か惹かれるものがあって、その箱を開けると中には銀色に輝く大太刀が納められていた。
その大太刀無名だが長さ約4尺、120センチ程もあり重さも約2キロもあった。
その大太刀を背負って戦場へと赴いたのだ。
初陣だが一応親方様の息子総大将は俺で、補佐に初陣をすませた兄貴がついた。
ただこの戦、親方様の父親が土岐頼芸側についてしまった。・・・結果は歴史のとおりで斎藤道三側が勝利に終わる。
戦の状況!?あからさまに斎藤道三に敵対した俺達の軍は、斎藤道三軍にさんざんに打ち破られ敗走寸前だった。
この戦いでは俺は初陣なのに先陣を切らされて先頭を走り大太刀を抜いて敵の兵と切り結ぼうとしたところを誰かが後ろから矢を射かけてきた。
弓矢が飛んできた方を見ると自陣の本陣から酷薄そうな顔つきの優男が二の矢を弓にかけて射かけようとしている。
危ない奴だ!俺の兄貴で一郎と呼ばれている。
俺の名前も次郎だから俺の両親のネーミングセンスの無さには呆れる。
一郎兄貴も俺が元服を終わらさせ初陣を経験したことで家督を巡って争う可能性が出てきたので、ここで俺の人生を終わらせようとしているのだ。
しかし俺の人生ここで終わらせるわけにはいかない。
一郎兄貴とは日頃から何かと比較対象させられてきて、一部の家臣の中には俺を次期当主にと推す声が上がっていたことも災いした。・・・何せ前世はインターハイ出場者、剣道・・・この時代では剣術か!一本松を打倒す程に特化している。
早々と一郎兄貴自らが俺を討ち取るために行動したのだ。
反撃して兄貴をこの世から消して一地方豪族の当主になるか?
山深く交通の要衝から外れて、農作物もあまりとれず、産業も無いこの地でお山の大将を気取っていても斎藤道三とあからさまに対立して敵方に付いたのだ!これではこの戦いの後はいずれは滅びる運命にある。・・・それに兄貴や親父殿にすれば俺を殺して、この戦いの責任者の首として斎藤道三に差し出して和睦でもするつもりか?兄貴にとっては一石二鳥のつもりか?
後ろから矢を射かけられ、前からは敵が切りかかってくる。
俺は矢を避けるために変則的に動く、そのうち敵兵の中でも大柄の兵が切りかかてきて鍔迫り合いに持ち込もうとする。
その状態になれば俺は動けなくなり兄貴の格好の的になる。
俺は体捌きで大柄の兵の斬撃を避けると
『ヒュー』
と矢が飛んできて大柄の兵の頬を擦る。
大柄の兵それに驚き弓矢を射てくる兄貴の方を危険と見たのか
「ウオー」
と大声を上げて兄貴に向かって駆け出した。
兄貴のおかげで助かった!
大柄な兵が大声を上げて兄貴の方、自陣の本陣に向かったおかげで、他の兵も勝機と見たのか本陣に向かって駆け出し始めた。
周りに敵がいなくなった。
チャンス!
戦場で主人を無くしてうろついている馬(農耕馬)を見つけたので、その馬に飛び乗り戦場からの脱出を試みた。・・・上品な馬術部主将のおかげで助かった!
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