第174話 流石にそれ以上はヤバい



 そう強く思ったその時。


「お互い了承の元に愛を育み、そして愛の結晶を作ろうではないかクロードきゅんクロードきゅんっ!!」


 カレンドール先生はそう叫びながら俺へ凄い勢いで抱き着こうとしてくるではないか。


 ちょっとカレンドール先生の言っている事の内容は凄く早口かつ慟哭や雄叫びのようでもあり聞き取りづらく、少し、いや、かなり言っている内容は意味が分からなかった(聞き取れなかった)のだが、生徒に対してそれ程(叫んでしまう程)の感情をずと抱え込んでおり、今まで苦しかったであろう事が窺えて来る。


 だからこそ俺に『生徒の前だからって良い教師を演じる必要がない』と言われた為タガが外れてしまい、感情が爆発してしまったのだろう。


 大人だって辛いし弱音を吐きたいよな。


 特にカレンドール先生のようなタイプは一見強そうに見えて実は弱音を他人に吐く事が苦手であり、むしろ他人にバレない様に溜め込んでしまうタイプでもあると思っていた俺の読みは見事当たっていたという事でもある。


 それは、俺が前世で社会人を経験していたからこそ分かったともいえる。


 俺がカレンドール先生にできる事は『俺にだけは弱音を吐いても良いんだよ』と言い、カレンドール先生のストレスを受け止めてあげる事くらいだろう。


 それくらいしかしてあげられないからこそ、俺はカレンドール先生を全力で受け止めてあげようと、若干目を潤ませながら抱き着こうとしてくるカレンドール先生を受け止める準備をする。


「そこまでですっ!! 淫乱年増っ!! クロード様の良心を利用して襲うなど、女性として恥ずかしくないんですかっ!? 私は同じ女性として恥ずかしいですよっ!!」

「ふぎゃっ!?」


 そして、カレンドール先生が俺の胸へと飛び込んで来る瞬間、体育倉庫の扉が一気に開くと外から何者かがカレンドール先生へタックルをしてそのままマットへ押し倒すと、もう一人がカレンドール先生へと説教をしだすではないか。


 一体誰がこんな事を? と思いみてみるとタックルをかましていた者のはダークエルフであるリリアナと、仁王立ちで説教をしている者は俺の側仕えであるニーナである事が分かった。


 そして今一度ニーナからリリアナとカレンドール先生へと視線を戻すと、首をリリアナによってチョークスリーパーの要領で背面から絞められ顔が真っ青になっているカレンドール先生の姿が目に入って来るではないか。


「ちょっとリリアナッ!! 流石にそれ以上はヤバいってっ!! カレンドール先生が死んでしまうっ!!」

「…………」

「おいっ!! 聞こえてないのかっ!? これ以上は本当にヤバいってっ!! 泡まで吹き始めてるからっ!!」

「…………」

「……俺の使用済み洗濯前のパンツを、今カレンドール先生を解放してくれたらあげるからっ!!」

「わかりましたっ!! 絶対ですよっ!!」

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