第90話 好意を寄せる事はあり得ない

 そしてこの状況で真実を見極める事ができずに勘違いしてしまった結果、オジサンたちは過度なセクハラをしてしまうのである。


 精神年齢的にも俺は特に気を付けなければならないので、この世界の特殊な環境も含めて勘違いをしないようにしなければならない。


 その事をダグラスは俺へ身を挺して教えてくれたのである。


 結局ダグラスもその事を理解できずに勘違いした結果『男性の身体目当て』で近づいているにも関わらず『自分に好意を寄せているから近づいて来ている』と認識のズレが起こってしまい、ダグラスの性別が女性へと変わったら今まで蜜に群がる羽虫の如く集まていた女性たちは蜜がないならば興味が無いとばかりに離れて行ったのであろう。


 しかもそれだけではなく、詐欺師として様々な件で訴えられてしまっている。


 恐らくこれが本当にダグラスの事を一人の人間として好意を寄せていたのであればこんな事にはならなかったであろう。


 だからこそ俺はしっかりと見極めて行かなければならないのである。


 そもそも普通に考えてつい最近まで男性の事が嫌いだった少女が、たった数日で男性に対して好意を寄せるわけがないのである。


 しかもその相手は、心底嫌っていたとはいえ実の父親を人生のどん底へと突き落とした張本人である。


 客観的に見て考えてみればジュリアンナが俺へ異性として好意を寄せる事はあり得ない。


 その為何故ジュリアンナは嘘までついて俺と登校したいのかと考えれば自ずと友人または戦友としてと考えるべきであろう。


 時に戦友として考えた場合、実の父親についてもあれやこれやと話したくなるだろうしね。


 そこまで考えた結果、俺は何故ジュリアンナが俺の住んでいる別荘へ訪れたのかある程度予測できた為、別に断る理由もないので一緒に登校する事を了承する。


「分かった。 それならば仕方ない。 俺の乗る馬車に乗ってもいいよ。 一緒に登校しよう」

「へ…………? あ、ありがとう……っ!!」


 そして、俺の返答を待つ間不安そうに、かつ顔を真っ赤に染めてモジモジとしながら待っていたジュリアンナは俺の返答を聞いてまさか承諾するとは思っていなかったのか呆けた後、俺と一緒に登校しても良いという事を理解した瞬間『ぱっ』と花が咲き誇るかのような笑顔になるではないか。

 

 その笑顔を見れただけでも俺はジュリアンナと一緒に登校する事を承諾して良かったと思えてくると共に、ある意味でこの世界では俺にとって初めての友達である為俺も俺でやはり嬉しいものである。

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