第46話 流石に理解できますよね?

 そうニーナは力説してくるのだが、世間の女性達が良くやる石鹸で洗った後にオリーブオイルで髪の毛をケアする方法とそう変わらないと私は思うのだが、あそこまで進められては流石に試さずに無視してそのまま石鹸で髪を洗う度胸は私には無い。


 そう思いながらもニーナのいう通り『シャンプー』とやらを手に出して、そのまま髪の毛につける。


 すると一気に泡立ち始め私の髪の毛の汚れを落としてくれるではないか。


 それだけでも間違いなくよの女性は驚愕するレベルなのだが、この後ニーナから教えてもらいながら『トリートメント』から『コンディショナー』と使っていき、洗い流してみると、髪の毛を乾かさなくても分かるくらい髪の毛に艶が出てきているのが分かる。


 これ程までに違うのか……。


 そしてそんな私を見てニーナがどこか誇らしげな表情をしているではないか。


「どうですか?」

「……悔しいけれどもこれは認めざるを得ないわね」


 それはもう乾燥させた時の髪が今から楽しみだと思えるくらいには。


「そうでしょうそうでしょう。 そして髪が乾けばさらに驚きますよ。 では私は自分の身体を洗いますね」


 そして私の言葉を聞いたニーナは満足した表情で自分の身体を洗い始め、私は髪の毛をタオルで頭に纏めて湯船に浸かる。


「ふー…………生き返る……」


 今日は色々あったけれども、それらで溜まった疲れが一気に抜け落ちていくような気持ちよさが私を襲ってくる。


 どれほどそうしていただろうか。 気がつけば当初感じていた気持ちよさに睡魔が加わり、私は湯船の中で眠ってしまいそうになった時、ニーナも身体と頭を洗い終えたのか私の隣へと湯船へ浸かり、気持ちよさそうな声を出す。


「ふぃー…………もはやこれのために一日頑張っていると言っても過言ではないですね」

「確かに、こんなお風呂に毎日入れるのはものすごく魅力的ね」

「魅力的なんてものじゃ無いですよ。 だってここは大衆浴場では無いんですよ?」

「ん? そんな事くらいは流石の私でも分かっているわ。 それがどうしたと言うのかしら?」

「いえ、分かっていないからこそ今現在あなたはそんなに落ち着いてこの湯船に浸かれるのよ」


 そしてニーナが当たり前の分かりきっている事を言ってくるのでそれがどうしたのかと聞き返すと、ニーナはそんな私の態度を見て何も分かっていないと言うではないか。


「何が分かっていないというのかしら?」

「この湯船は男女で分かれていない為、当然クロード様も使っていると言えば疎い貴女でも流石に理解できますよね?」

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