第41話

 夕方から風が、強かった。僅かに湿気を含み、寒いというより冷たく、うねる感じが有った。

 雲が激しく流れ、切れ目が生まれた。陽が暮れてから、久し振りに月が時々、姿を覗かせた。半月より少し、大きい位だった。

 もっとも、目にしているのは夜間の巡邏兵数名のみ、だった。


 司令官が床に着くのは早かったが、眠りに落ちるには時間が掛かる方だった。風の音が、耳についた。


 目を覚ましたのが声を掛けられるより先だったのは、さすがだった。


「起きて下さい!」


 兵士なら、部屋に入る前からもっと大声で、呼び掛けて来る筈だった。


「何…!」


 ただ、曲者ならわざわざ、起こしに来るのも変だった。煮え切らない反応に成った。


 突然、部屋の真ん中辺りに、拳程の光球が出現した。闇が、追いやられた。

 三人、居た。


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