第13話

「よくぞ、来て頂きました!本当本当、有り難いです!」


 ヤリジュアの司令官エスナルドルは、さすがに軍人らしい逞しさも有ったが、細身の人間だった。背は、高かった。


「旅、如何でした?使いの者は、失礼が無かったですか?」


 本題に入りたい所だったが、話は長かった。


「司令官」


 ガイアンは、遮る様に手を上げた。


「事件について、話しましょう」


「そうでした…重要なる、本題なる話は、そこですな!」


 ピリピリした様な感じはバルキエールとも似ていたが、物言いが大袈裟であり、その分、引っ掛かって来る感じが有った。


「とにかく、何がどの様に起きたかを」


 大筋、バルキエールから聞いていたのと同じだった。何となく一人、先に行ったり遅れたりしていた巡回中の兵士が、気が付くと死体に成って発見された。誰が、或いは何がどの様に殺したのか、見た者はいない。悲鳴等も、聞かれていない。


「足跡の、類いは?」


「ああ…」


 どうやら、死体を運ぶだけで手一杯で、誰も、その辺りを調べたりしていないらしかった。


「死体、見せて頂きたい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る