第10話

 水面を眺める様に立っている二人は、どちらも、白地に金糸の縁取りの有る、頭巾と一体と成った長衣を身に着け、その頭巾を目深に被っていた。

 為に、顔立ちは良く見えなかったがどちらも、エルフである様だった。片方は、エルフとしてはやや小柄であり、もう一人は、細身で長身らしかった。


「アイヌール、気に食わぬ」


 小柄な方の人物が、呟いた。


「水に、力が有りますからな…例の三人と情報屋のエルフが、ヤリジュアに向かったそうにござります」


「腕は?」


「立つ様です…情報屋は、騒動屋でイカサマな者として知られている様ですが」


「さっさと始末してしまう事が、出来ぬか?」


「慎重さこそ肝要、という限りは」


「傭兵共には、侮れぬ奴等もおるしな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る