第4話
「ジャフリカの話、だとお?」
市場の端の、屋台店が集まった一画だった。ガイアンの他に二人、卓代わりの木箱を囲んで、椅子代わりの木箱に、座っていた。
声を上げたのは、筋骨逞しい大柄の、禿髪の人間の男だった。短い口髭によって年上に見えたが、良く見るとそこそこ、まだ若かった。
もう一人は、冷たそうにも見える鋭い目付きの、エルフの男だった。曲刀を両腰に付けているのが、目を引いた。
焼き物の匂い、煮物の匂い、様々漂っていたが、三人の前にはそれぞれ、中位の杯が有るのみだった。二人の人間のには酒が入っていたが、エルフが飲んでいるのは何かの、茶らしかった。
三人とも、着ている物は地味だったが、動き易そうだった。
「面倒事、だそうだ」
ガイアンは落ち着いて、答えた。
「ほう!なら話が少々、変わってくるな!」
「話聞いた限り、確かに面倒事だ」
「詳しく、頼む」
「デアリア鉱山」
「面倒事だな」
エルフの男は、無言だった。
「近くに、アルジュアという入植砦、出来てるらしい…最近、そこの兵士が巡回中襲われて、もう三人死んでるんだそうだ」
「どんな風だ?」
「どんな、傷だったか。何人で巡回してたのか、生き残った奴が、いるのか。一人離れた所を不意打ちされて、襲った奴の姿は誰も見てない話なのか…なんて事をきちんと、詰めて来ないのがジャフリカだ」
「とにかく、司令官辺りが事態伏せつつ、こっそり調べて貰えないかって話か」
「正に」
兵が襲われた事に対して司令官が、調べてくれる様依頼してくる事に対して三人とも、何とも思っていない風だった。入植砦の兵の実態を知っているからなのは、言う迄も無い。
「とにかく、優秀とは言えないな」
「話持っていく相手に、ジャフリカ選ぶ様じゃな」
「デアリア…ワクワクするじゃないか」
エルフが初めて、口を開いた。
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