第3話
チロシです。
エヴァの身体をマッサージしたとです。
そしたら我慢が出来なくなったとです。
だから、正直にエヴァに言えば、下唇を触っても怒られないと思ったとです。
だが、エヴァは正直に言ったのに怒ったとです。
そして、ヴィヴィの膂力ある拳が、僕の後頭部目掛けて炸裂したとです。
痛かとです。涙がちょちょぎれるとです。
~*~*~*~
ヴィヴィに鉄拳制裁を食らった俺は、エヴァのマッサージを真面目に終わらせた。そして今度はヴィヴィの番である。
先ほどの屈辱は忘れてはいないぞ。
俺は二人に聞こえない音量でボソリと呟き、ヴィヴィの着るバスタオルのバスローブを剥ぎ取っていた。そして、冷たいマッサージオイルをエヴァの時とは違い、直に背中に垂れ流す。
「冷たい、チロシ何してるのですか」
「ちょっと、チロシ」
ヴィヴィの抗議の声とエヴァの抗議の声を手で制して、俺は二人に呟く。
忘れたのか二人とも、お客さんに対してしては駄目な事を今回の体験で学んで貰うと教えたはずだぞ。
二人は、その事を思い出すと口を噤む、二人の邪魔が無くなったら俺の独壇場である。後は俺の好きな様にするだけであった。
「ちょっとチロシ、変な場所ばっかり揉むのは止めなさい」
「そうよチロシ」
ばかもの!マッサージとは本来は、こうやってする物なのだ。
二人を一喝すると、俺はヴィヴィの胸の脇を何度も何度もマッサージをし始める。
「ンッ、アッ、ハァ、ハァッ、ダメッ、チロシ駄目なの……」
「ヴィヴィ大丈夫」
ヴィヴィの声が段々と甘さを含んだ声になり、それを聴いていたエヴァの顔が紅潮していた。そしてエヴァはモジモジと身体をうねうねさせていた。
俺は下半身にもマッサージオイルを垂らすと、お尻を中心に満遍なくオイルを塗って行く。エヴァの時と一緒で太股や内股もマッサージする。
今回は前回の失敗を踏まえて、露骨に触らない様にする。ばれなければ犯罪ではない理論を実践しているのだ。
「ちょっとチロシ、わたくしのアソコに手が、手が当たって……いる」
エヴァには見えない様で、エヴァからの抗議はなかった。つまり作戦は成功であったのだ。
「アンッ、チロシ、変な場所に手で触れたら駄目なの……です」
俺はエヴァに見えない様に、身体でマッサージしている部分を隠しながら、ヴィヴィのマッサージを続ける。
だが。
「何時まで同じ場所をマッサージする気なの?一人に時間を掛けすぎると利益が減るじゃない」
クッ、エヴァの指摘は
俺は仕方が無いので、足首や脚の裏をマッサージしてエヴァに見せている。
「大体のやり方は分かった」
「そうですね。わたくしも理解できましたわ」
マッサージを終えた二人は、マッサージオイルでテカテカになっている。この後はオイルを洗い落とすのだが、ココで問題が発生する。
折り畳みのバスタブでお湯を掛ければいいのだが、野外で裸になる勇気はあるか?
「仕切りがあれば出来ない事はないけど。でも、野外で仕切りがあるからって裸にはなりたくないかな」
「そうよね。淑女としての嗜みとして、無理な話よね」
クッ、此処まできて常識に負けるとか、予想外だよ。
「マッサージは気持ちが良いけど、外で裸になるのはね」
「そうよね」
ピンチです。御風呂屋チロシ最大のピンチです。
~*~*~*~
ココで登場する商品は、山に家族や彼女連れで行くアナタに紹介したい商品です。その名も野外フィッティングルームと言います。この商品の優れている点は軽い・コンパクト・設営が簡単と言う点です。
「チロシ、一人で何をブツブツ言ってるの」
「頭がおかしくなったのでしょうね。可愛そうに」
おい、お前ら、後で覚えとけよ。
「何を覚えておくの」
「相手にしたらいけないわエヴァ」
女の子が二人も居ると、俺に分が悪い。此処は一時退却じゃ。
「「退却」」
本当に退却はしないから、首を傾げるのを止めなさい。
俺は野外フィッティングルームを組み立ててしまうと、二人に使って見せていた。野外フィッティングルームの中に邪魔にならない台とスノコを置けば、身体を綺麗に拭くくらいは出来るスペースがある。
この野外フィッティングルームで、マッサージオイルをお湯で洗い流した後に拭いて着替えれば、問題は解決するだろ。
「そうね。使えるかどうか試してみる」
「わたくしも一緒に入りましょうか」
二人で入ったら、身体を拭くこともできないぞ。
俺は二人で入る事を止めたのだが、俺の静止など聴く筈もない二人は、二人で野外フィッティングルームに入ると、チャックを閉めて身体を拭き始めるのだが、二人が同時に行動すれば何も出来ないのは、最初から分かっていたことで、野外フィッティングルームは盛大に横倒しになっている。
「「痛いぃぃぃ」」
当たり前だ。
だが、野外フィッティングルームから二人のシルエットを見たことで、チロシは少しだけ興奮していた。そう野外フィッティングルームの布地は薄いのだ。
あれは、あれで有りだな。
チロシはボソリと呟き、二人が入ったままの野外フィッティングルームのチャックを開け放つと、中からは全裸になっていたヴィヴィとエヴァが出てきた。
「「見るな」」
二人から声がハモル。
二人を助け出したチロシは、二人にバスタオルを渡して前を隠すように言う。
「二人で入ったら駄目だな」
「そうね。まさか倒れるとは思わなかったわよ」
当たり前だ。ばかもの!
チロシは倒れた野外フィッティングルームを起こすと、もう一つ野外フィッティングルームを組み立てて、二人には別々で使うように促した。
そうすると、スムーズにマッサージオイルを洗い流してから、着替え終わった二人が野外フィッティングルームから出てくる。
どうだった?一人の方が楽に出来ただろう。
「うん、二人は危ないよね」
「一人なら楽にできるわね」
二人とも、これに懲りたら野外フィッティングルームに二人で入らないだろう。
これで問題は解決である。
俺はエヴァに追加で製作依頼を出すと、すぐさま木材屋に買出しに行く、それと鍛冶屋に頼んでいた鉄球と焚き火台の上で使える、鉄板を特注で注文していたのを取りにいく。
お湯を温める為に俺は、LPガス式の焚き火台をガレージから取り出していた。それを使い鉄球を暖めて、水の中にボンボン投下して行く予定なのだ。不思議な事にガレージから出した物も、同じ物でも何個でも持ち出して使う事ができた。だから俺はLPガスを使い放題なのだ。
エヴァに製作するのは、野外フィッティングルームの床に敷く専用のスノコと衣装入れ用の台である。流石に地か野外フィッティングルームに入ると置いている場所に寄るが、砂利の上などで着替えると考えたら足が痛そうである。
板と角材を買って作るだけなので、エヴァなら一時間もあれば全部のスノコと台を完成させるだろう。
俺は鍛冶屋に行くと、店主に頼んであった完成品を引き取りにきた事を伝える。そうして店の棚から出てきた物は、野球ボウルの玉と同じ大きさの鉄球が30個だった。それを俺は持とうとするが、持ち上げる事もできずに途方に暮れていると、後ろで見ていたヴィヴィが、半目で俺を眺めていた。
「チロシは力が無さ過ぎなのです。こんのくらいの物を何で持てないのですか」
ヴィヴィは俺に、そう言うと軽々と鉄球が入っていた籠を持ち上げている。
俺は悔しくて、口からグヌヌヌと声が漏れ出した。そして、ヴィヴィがお店を出ると、歩いているヴィヴィのお尻をスパンキングした。
「チロシ駄目よ、こんな場所でお尻を叩かないで、感じちゃうから……駄目なのアンッ」
ヴィヴィの甘い声が、真昼の町中に木霊していた。
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