第10話 人間にとって、生き物にとっての必需品『水』

人類の歴史を学ぶと

大河に面した3つの文明(メソポタミア、インダス、黄河)が幕開けとなっている


これは、豊かな水資源が人類の基本的な生態に必要不可欠であることの表れである

豊かな水資源によって人々の生活基盤が成り立ち、

そこに人が集まったことでコミュニティが発展し、言語や文字の発展を促し、

さらに農耕や畜産などを手に入れたことが、

今の私たちの生活へと発展する

記念すべき第一歩だった


もし、地球上に大きな河がなければ、

人類という1種類の哺乳類がこれほどまでに

発展を遂げることは無かったとも言えます


今でこそ大河の近くではない場所でも

人類が継続的に暮らしていくことができているわけですが、

日本人が一日に使う生活用水の量は

国土交通省の2017年の調べでは

生活用水として約146億立方メートル

工業用水として約110億立方メートル

合わせて約257億立方メートルを1年間で消費したということです

これは水道の消費だけを元に算出したものなので

地下水路や海水、河川水、井戸水、湧水などなどの

自然の水は含まれていないので

正確な計算にはなりませんが

2017年の総人口1億2670万6千人で割ると

202.83015145177立方メートル

なので1人辺り年間約200立方メートルの

水を消費していることになります

(200Lのお風呂1000杯分)

もちろん、年齢、性別、体格や職種、活動状況様々なので、全員が同じ量の水を使うことはありえませんが、1つの目安として、それくらいの水をじゃぶじゃぶと毎日使っていることを意識できたでしょうか?


これまでずっと、そしてこれからもずっと人類は、

その一生の中で大量の水資源を消費して

生活が成り立つことは変わらないでしょう


では、そんな生活に必要不可欠な水資源

人類の生活で1番水が手に入らない場所は

いったいどこなのでしょうか?

砂漠でしょうか?


私は宇宙ステーションや宇宙船が

もっとも過酷な水資源調達戦争を

繰り広げている場所だと思いました


地球上であれば、降水量は異なりますが、

全く1mlも年間で雨が降らないという地域は

おそらく無いでしょう

そして、大気中には少ないながらも

水蒸気が含まれているので、

かき集めると少しの水を手に入れることができます

しかし、宇宙に飛び出してみると

宇宙には大気は無いですし、

雲よりも高いところなので雨は降りません

つまり、年間を通して

ほとんど水が手に入らないことになります


宇宙飛行士の方々はどのようにして

水資源をやりくりしているのでしょうか


国際宇宙ステーションISSでは、滞在する宇宙飛行士の生活用水や飲水を、宇宙飛行士が排泄した尿や汗、宇宙服内の水蒸気、シャワーや歯磨きなどの全ての水分を、浄化装置でリフレッシュして再利用している。

海水を蒸発させると塩などのミネラルや藻、砂、土、ゴミ、生き物や細菌の残骸などと、真水に分けることができることはご存知の人もいるだろう

原理としては同じようなことをISSの浄化装置でも行っている


しかし、そこにはテクノロジーに裏付けされた世界があるだけです


では、テクノロジーの保証のない場所はどうでしょうか?


地球上でも地域によっては水は貴重なもので、アフリカの一部の地域では生活のための水を手に入れるため、片道4時間かけて水を汲む生活を送る人たちもいます

往復8時間。重い水器。灼熱の大地。徒歩。

想像できそうもないほど過酷な世界です

その現実に直面している人達が現在も地球上にいることは確かなのです


そのような地域の一日の生活用水の合計は16リットルであると集計されたこともあります

現地の一部の集落で集計したものなので、正確な統計ではないが、少なくともそれが一時的だったとしても集落の平均であったことがあるというのは、変わることの無い事実です


必需品が容易に手に入らないということが、人の生死に直結しているように、その地域の教育や政治、作物の取れ高や働き手の数など、全てに響いてくる問題です


インターネット上で調べられる情報で、上記のことが分かる時代で、自分達の生活を省みると恐ろしくなります

そのような過酷な生活をしている人達が、我々のような恵まれた暮らしをしている人々を、どうにか頑張れば目の当たりにできる現代は、非常に特殊な状況です


恨まれても仕方がない

優位性のある環境に感謝をして今を精一杯生きることができているでしょうか?

恵まれている人は、その恵みに、大抵気づけない

何も知らない

盲目で無知なことが、恵まれている人にも、困窮している人にも平等にある訳では無い

恵まれている側は、無知で盲目を選択できる

困窮している人にはほぼ選択肢はない


格差という問題は

どうにもできないものではないが

どうにかしてしまうと富めるものには損失でしかないので

富めるもの達は盲目や無知を進んで作り出そうとする傾向はある


彼らの主張は、間違いではない

彼らが手にした富を無償で分配しろというのは、どう考えても彼らに酷だろう

だから、分配は不要か?


彼らに富を掴ませたまま、困窮を是正するために、国連はSDGsという再分配方法を実行しようとしている


しかし、あまり上手くいっていない

現状のままではSDGsは達成しえないことが判明している


次なる手が必要だ

その手だては、どこにころがっているのかは分からない


創作の世界では、しばしば未来の技術をいち早く発掘してきた

星新一の「声の網」は、インターネットが世界にまだ普及していない時代に書かれたものですが、インターネットの先を予見させるような衝撃を与える作品だった


フィクションの中にリアリティを追求すると、世界に通用する作品が出来上がることがある

その作品をメディアミックスで全世界に向けて発信することで、最先端の科学者や科学者の卵の学生達に影響を与えて、数年越し、数十年越しに技術が確立されることもある


世界に向けてどのような価値観や世界を望んでいるのか、望まれるのかを見据えて、作品に投影することが、世界をその方向に変える1つのきっかけになれば、作家冥利に尽きると考えます


この創作論は私なりの価値観の共有方法ではありますが、インターネットで調べてもらえれば、私が調べた数値のページが見つかると思います

これからも、世界を見る1つの視点を、あなたにも共有していきます

決して世界や作品を否定する訳ではありませんが、考えるきっかけになればと思います

拙い文章にお付き合いいただき、誠にありがとうございます


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