第2話 資本主義を強くするのか、封建制度を強くするのか
あなたは資本主義がどのように生まれたのかをご存じだろうか
そして、自らの作品にどの時代を反映させるのかを考える時
社会構造の基本的な成り立ちを理解しているか、していないかで
世界観が重いものか、またはライトなものになるかが分かれる
読者側にも好き好みがあり、世界観が作り込まれているかや
中には現実に即しているのかを気にしてしまう人もいる
作者としてはその読者からの指摘や視線に対応する際に
予め作風としてどういった価値観で形成しているか
指針となるものがあればいくぶんの悩みの種が減るのかもしれない
~中世の世界では~
中世ヨーロッパは5世紀から15世紀ごろまでを指すことが多い
このころのヨーロッパは、宗教支配と封建制度で成り立っていた
当時は資本主義なんて言う考え方はなく
お金を持っているのは貴族や王族や教会だった
一般の人々は貴族や王族や教会に課せられた物品支払いのノルマがあり
ノルマを達成できなければ次回以降のツケ(負債)に回されたり
ひどい場合は見せしめや口減らしに殺されたり
領地からの追放を余儀なくされた
中世では貴族や王族や教会とパイプ役として
手腕を発揮した商人が栄えたりする時期もある
しかし、贔屓にされていた貴族や王族や教会の没落すると
その商人や商家も共倒れとなることが多く
商人として栄えたとしても封建的、宗教的支配を脱していたわけではなかった
基本的には中世と言えば、封建制度や宗教支配しかなかったので
今のような資本主義の貨幣による物の売買で
なんでも手に入るような時代ではなかった
中世は基本的に家庭内ですべて手作りして家庭を運営していたので
何かを買ってくることはほとんどしなかったのです
物は基本的に領地のもの、統治者のものなので
お金を出しても領地にお伺いしないと
お伺いが通ることもほとんどなかった
物を不正に流出させたり横流ししていることが統治者に見つかると極刑ものでした
~資本主義の起源~
15世紀の始めに、西ヨーロッパ(今のスペインやポルトガル)で造船技術の発展もあり、
シルクロード(陸路)にかわる交易ルート(海路)の確保を目指すムーブメントが起こった
俗にいう大航海時代です
当時、貴重な香辛料(スパイス)や絹(シルク)は、陸路でしかヨーロッパに流入することがなく
陸続きの東側(ローマなど)が非常に栄えていた
西側は地形としては陸路の果てになるので
香辛料(スパイス)や絹(シルク)などが西側に流入する量は非常に少なく
物価としても貴族も節制するほど高騰していた
そこに目を付けた商人たちが
インドまで海を渡ってスパイスなどを取りに行くので
当時最先端の高い技術に基づいた船を出向して
帰ってくるまでの資材や船員を確保するための出資を募りました
これが資本に基づく会社を運営する、今でいう株式会社の最初の形でした
この出資を募って行動して成果を還元する資本の流れができました
そして同時に、お金の価値が、物の価値と間接的に結びついて
資本的に価値の交換が行えるようになった
その仕組みで社会が運営されることを資本主義社会といいます
資本主義社会では物をお金を出せば買えるようになったので
商人が栄えます
貴族や王族や教会よりも資本を持つ者が栄える場合もあります
歴史上ではロスチャイルド家というユダヤ家系の
金融を牛耳る勢いを持っていた家系が貴族よりも栄えました
いわゆるゲームチェンジャーですね
彼らは徹底して資本主義の利益を研究して家族全員で
その利益を増大させるシステムを作り上げました
~作品中の時代考証について~
どの時代の社会構造を作品に反映させるのかによって
誰が栄えているかやその世界間で何ができるかが変わってきます
それを理解していないと、基本的に時代背景に合わない
行動を登場人物にさせてしまうことになります
物の売り買いができる世界なのか
誰が栄えていて、その権力が絶対的なものなのか、限定的なものなのか
作品の時代考証に役立ててもらえるとうれしいです
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