第2話 少女サリー
昔、昔、その昔……
少女サリーは、とても貧しい生活を強いられていた。
母親は、病気を患っており
父親は離別して居なかったのだ。
なので、サリーが母親の面倒を
見ることになる。
サリーは幼い頃の皆がするようなワガママ言う事すら
叶わなかった。しかしサリーは
一言も愚痴を吐かずに、
懸命に母親の看病をしていた。
ある日は、パン屋さんに
パンの耳を分けてもらい……
母親に、パンのミルク煮を砂糖を混ぜて作り、食べさせ。
ある日は、八百屋さんに向かい
くず野菜を分けてもらい……
ポトフを作って、
食べさせたりと……
サリーは
『お母さんが元気になるなら』と……毎日毎日
母親の食べることや色々と身の
周りの世話をしていた。
そんな状態なので、サリーは
当然学校にも行けずに
近所の子供達から、
酷いイジメに遭っていたのだ。
サリーはとても悲しかったが
お母さんが居れば、、、
と自分に言い聞かせていた。
そんなある日の事……
サリーは食べ物すら分けて貰えない日が続くと……
物置小屋にヤギのミルクや
ニワトリのタマゴで、何か食べ物を作ろうと
クモの巣の張った物置小屋へと
足を踏み入れた。
だが。ヤギも逃げ、ニワトリも
どこかへ行ってしまった様子。
サリーは、始めて自分の運命を
呪ったのだった。
『なんで?なんで私ばかり。』
サリーは大粒の涙を流した。
サリーは物置小屋に座り込み
ずっと、涙が流れ続けているのを止められなかった。
今までの苦しみ、つらさ、
そして、
終わりのないイジメに
サリーは酷く心を傷つけていた。
そんな時…………
サリーの頭の中に声が響いた。
『ねぇ、どうしたの?』
サリーは驚く。涙も止まってしまうほどに。
また声が聞こえる。
『君……なんで泣いてるの?』
サリーは、自分がとうとう頭が
おかしくなったと勘違いした。
そんな時…………
『大丈夫だよ。君はおかしくないから。僕には分かる。君のこと。
ずっと見てきたから。』
『…………??!』
サリーは、まるで心を見られている感覚に陥った。
そして思わず、、、
『誰?……誰なの?!』
『僕を助けてくれる?君なら出来るよ。僕はここだよ!』
サリーは、声のする方を見上げると、そこには……
光り輝く一冊の本が……
無造作に置かれていた。
誰にも気づかれずに光り輝く一冊の本は
まるで、新しい主を探すかの様に寂しく青白く光っていた。
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