ゼノブレイド論
田中永慈
ゼノブレイドに欠けているスクウェアのもう片方の系譜
■イントロダクション
FFの初代ディレクター坂口博信は週刊少年ジャンプの編集長だった鳥嶋和彦にダメ出しされキャラクターを重視するようになったという話は有名だが、初代FFのシナリオは核心の部分がループ構造とメタフィクションになっているのはほとんど触れられていない
初代FFの世界観設定を担当した河津秋敏と石井浩一を再評価しないといけないんじゃないか?
7はメタフィクションをやろうとしているし8と10は完全にループ構造とメタフィクションなので、2代目ディレクターの北瀬佳範とシナリオライターの野島一成は初代の継承をやろうとしたのかもしれない
しかしやはりそこは注目されなかった
ループ構造とメタフィクションはアドベンチャーゲームで独自発展したことになっている
しかしスクウェア内部ではJRPGのキャラクター重視リニアシナリオ路線に抵抗する形で、ノンリニアなシナリオを求めたクリエイターによりループ構造とメタフィクションは既に実践されていたという歴史認識を広めたい
■スクウェア開発3部
ゼノギアスのスタッフはクロノ・トリガーと被っている
クロノ・トリガーを作ったのはゼノギアスと同じスクウェア開発3部と単純に考えられていた時期がある
その辺りの事情は実に入り組んでいる
現行のクロノ・トリガーは開発4部とサポートに入った開発1部で作られた
実は現行のクロノ・トリガーが作られる以前、任天堂とSONYが共同で作っていたPS用にCD-ROM版クロノ・トリガーが開発3部で作られている
キャラクターデザインの鳥山明はCD-ROM版クロノ・トリガーにも参加していたようだが、初期プロットを担当した堀井雄二が参加していたかは不明
おそらく坂口博信が鳥山明を起用したRPGを企画
開発3部が制作するがキャンセル
鳥嶋和彦の介入で堀井雄二が加わる形で再始動
開発4部と開発1部が共同でクロノ・トリガーを制作という流れだと考えられる
ドリームプロジェクトの発案者は鳥嶋和彦なので鳥嶋和彦の介入と堀井雄二の参加は同時のはず
堀井雄二がCD-ROM版クロノ・トリガーに参加しているなら坂口博信の企画段階から鳥嶋和彦の介入があったことになる
現行のクロノ・トリガーが作られていた時、開発3部では聖剣伝説3が作られていた
聖剣伝説のスタッフは聖剣伝説3のあとに開発2部と合流することになる
聖剣伝説LOMのプロデューサーが田中弘道でなく河津秋敏だったのはこのため
聖剣伝説のスタッフが抜けた直後の開発3部にクロノ・トリガーを作っていたモノリスソフト創設メンバーが入りゼノギアスの制作がスタート
クロノ・トリガーのスタッフが抜けた開発4部はタクティクスオウガの松野泰己がスクウェアに入社したことで再編
FFTが作られることになる
開発3部の出来事を時系列に並べるとこうなる
CD-ROM版クロノ・トリガー(元は田中弘道がFF4用に考えていた企画)→聖剣伝説2→聖剣伝説3→聖剣伝説のスタッフが開発2部へ移動→ゼノギアス→デュープリズム→クロノ・クロス→モノリスソフト設立→FF11
この様に時系列に並べると、プロデューサーの田中弘道がFF11に注力しなかった場合──モノリスソフトが独立しなかった場合どうなっていたかというのを考えてしまう
モノリスソフトは、のちにゼノブレイドで歴史のifを現実にしてしまうことになる
■オープンワールド
イベントやバトルなどに専用画面がない=シームレス
プレイヤーのリソースに時間がある=リアルタイム
イベント進行に決められた順序がない=ノンリニア
シームレス&リアルタイム=聖剣伝説
ノンリニア=サガ
それぞれ異なる進化を遂げている聖剣伝説とサガの特長を合わせるとオープンワールドになる
聖剣伝説2はCD-ROM版クロノ・トリガーを元に作られている
田中弘道はFF11に取り掛かる以前、CD-ROM版クロノ・トリガーの時からシームレスリアルタイムコマンドバトルを着想していた
このことがのちに松野泰己のFF12と高橋哲哉のゼノブレイドにつながることになる
ゼノギアスが田中弘道プロデュースというのもありゼノブレイドは聖剣伝説の系譜と言えるかもしれない(ゼノギアスのCMにはFFと聖剣伝説の名前が使われたりもした)
しかし聖剣伝説<シームレス&リアルタイム>だけがスクウェアの全てではない
ゼノブレイドはサガ<ノンリニア>をスクウェアから受け継ぐことができなかった
日本人が再構築したことでRPGがJRPGになったようにオープンワールドはJオープンワールドになるはずだった
スクウェアはそれを可能にする布石をいくつも残している
全盛期が続いていればスクウェアはベセスダにさえ勝てただろう
■参考リンク
https://dengekionline.com/soft/interview/ff3/
http://brownie-games.co.jp/201404111818.php
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