誕生日でお笑いネタ書いてみました
岩田へいきち
誕生日でお笑いネタ書いてみました
「俺な、今日、誕生日なん」
「ええっ、誕生日なん? なんで楽屋で言わへんかったん? いや、おめでとう」
「誕生日サプライズや。びっくりしてくれたか? 俺な、1ヶ月前からな、お前のことびっくりさせて喜ばしたろって計画しとったんや。これ、本番で言うて、お前、びっくりして、喜ぶやろなってな。たいへんやったんやで、俺の誕生日がお前にバレんようにな。特にマネージャーのみっちゃんの口塞ぐのが一番たいへんやったわ。あいつお喋りやからな。首しめて、殺したろかとも思うたわ」
「おお、お、殺人事件の口封じみたいな物騒なことやめてや。たかが誕生日サプライズぐらいで…… しかも俺のじゃなくてお前の誕生日でな。お前の誕生日、俺に隠す為に他人殺してたらシャレにならんで。いや、でもおめでとう。お前がそこまでして俺に隠してたことにびっくりして、ネタ飛んでもうたけど、おめでとう」
「ありがとう。素直にびっくりしてくれて、今日最大のプレゼントやわ。お前、やっぱりいい奴やな。愛してるわ」
「やめてぇや、気持ち悪いわ。そんで、いくつになったん?」
「31やわ」
「三十路過ぎたんやな」
「そうなんよ、三十路や思うたら、もう31やねん。30になってからのこの1年が早いこと。あっという間やったわ」
「まあ、そう言う人たくさんおるな」
「さすがお前やわ、愛してるわ。よう分かっとるわ、俺の言いたいこと」
「だから、気持ち悪いて。で、お前の言いたいことって、何やねん?」
「人は、毎年、1年が過ぎる早さが変わって早くなるって知ってるか?」
「まあ、早かったわ、あっちゅう間やったわ、言う人おるけど、100年分くらいあったわ言う人、聞いたことないな」
「そうなんよ。それにはな、秘密があんねん」
「秘密? どんな秘密やねん?」
「例えばな、1歳から2歳までの1年ってどれくらいと思う?」
「えらい一気に若こうなってしもうたけど、1年は今も昔も1年、365日やろ?」
「そやな、物理的にはそやな。でも俺が言いたいのは体感の早さやねん」
「体感か、湿度が高い時に体感温度が高いとか言う体感やな。分かった」
「さすがお前やわ、物分かりが早い。愛しとるわ」
「だから、よせって」
「1歳から2歳までの1年は、な、これまでの生きてた時間、2年の1/2やねん。2歳から3歳までの1年は、1/3。3歳から4歳は1/4。なんか気づきへんか?」
「いや、そう言われてみれば、そうやな、と気づいたわ」
「お前、数学、不得意やったやろ? まあ、ええ、それは見とったら分かる」
「何がええんや。何を見とったら分かるねん?」
☆ ☆ ☆
「お前、自販機のお釣り、取り忘れとったやろ? 数学得意な奴は、そんなん、絶対しいへんわ。そのお釣り、俺がもろうとったけどな」
「お前やったんかい? 直ぐ、取りに戻ったけど、もう、あらへんかったんや」
「まあ、誕生日プレゼントとして頂いとくわ。そんなん、どうでもいい話なんやけどな。指数関数的に1年の長さが減ってるやろ?」
「指数関数的に? ああ、新型コロナの感染拡大とかで、ニュースで言っとるやつな。爆発的に増えるってやつな」
「さすが、お前やな。数学が不得意な分、意味わからず、覚えとるな。これはそれと逆な。最初は、急激に1年が短くなっていく。指数関数的とまではいかないけど、ただの y=1/x の式な。お前は、無理して理解せんでいいけどな」
「ちょっと待て、俺もそれくらい分かるわい。お前の30歳から31歳の1年は、1/31ってことやろ?」
「お前、凄いわ。これ、ひっかけ問題やったんやで。正解やわ。ここで、みんな1/30と答えて間違えるんやわ。見直したわ。出来るやないかい。数学できる奴でも自販機にお釣り忘れるんやな」
「これ、ひっかけ問題やったんかい? そんなん、なんも考えずに答えとったわ」
「お前、天才かもな? でもな、もう一つ大事な話あんねん。このな、y=1/xって式な、どこまで行っても0にならへんねん。例えばな、お前が60歳から61歳になっても1/61。100歳から101歳になっても1/101。1000歳から1001歳になっても1/1001。1年は、無くならへんねん。お互い良かったな」
「誰が1000年も生きるんねん。もうええわ」
「ありがとうごさいました」
終わり
誕生日でお笑いネタ書いてみました 岩田へいきち @iwatahei
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