ただの好きなだけのラブコメ

二髪ハル

プロローグ

 

 初めて会った日のことを今でも覚えている。

 幼い頃の夏休みの御盆ということで母方の祖母へ行くことになった。

 車で数十分乗られ祖母の家へと向かいおはぎを貰って食べいると祖母が言った。

「渡ちゃん。美咲ちゃんに会ってみないかい?」

「だれ?」

 もう一人の祖母の姉が頷いていた。

再従妹はとこだよ。今遊びに来てるからちょっと遊んでくれるかい?」

 はとこ?

 始めて聞く単語に戸惑ってしまう。

「おはぎ、美咲ちゃんと一緒に食べな。あとソーダも飲まな飲まな」

 おばあちゃんにおはぎとソーダの缶を乗っけたお盆を待たされてテレビの方へと向かった。

 小さい女の子がテレビに座り込んでいた。

 この子が美咲ちゃんかな?

 俺はその子の隣に座り込み一緒にテレビを眺める。

「おはぎ食べる? ソーダも貰った」

 そう聞くと女の子はこっちとお盆を交互に見て小さい頷く。

「うん……」

「……」

「…………」

「………」

 会話も無いまま子供番組の人形がずっと喋っているのを聞きおはぎがなくなっていた。

「お名前ってなんていうの?」

「ぇ?」

 名前を聞かれてビックリしてしまい裏声が出てしまった。

「お名前なんていうの? おはぎちゃん?」

「違うよ……。おはぎじゃないから食べないでよ」

「え、だめ?」

「いやだ〜!」

「あっ! 待っておはぎちゃん!」

「おはぎじゃなーい!」

 そのまま走り玄関の方へと走っていくがすぐに女の子に捕まってしまった。

「捕まえた!」

「ぬへっ」

「わたしの名前、みさきって言うの? おはぎちゃんはおはぎちゃん?」

「……わたる」

「わたぁるくん?」

「うん」

「ねぇねぇわたるくん! 一緒に遊ぼう!」

 手を引っ張られ外に連れてかれる。

 その時に見た笑顔はとても嬉しそうでこっちまでワクワクと楽しい気持ちになっていた。

 笑顔が可愛いな……。

 

 この時の笑顔を見て俺は彼女に対して一目惚れをしていた。

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