ポンコツで可愛い武装美少女は僕を昇天させる指令を受けているようです~せん滅生フィぎゅ!対人地雷女 改稿版
悠木音人
第1章
第1話
僕が考える最悪の状況っていうのはさ。これでもかってくらい最悪の条件を写真映えするパフェみたいに盛りまくった状況のことじゃないんだ。
たとえば、あと三秒で爆発する爆弾を飲み込んだ瞬間に、学校一の美少女から交際申し込みのメールをもらったとか、そういう天国と地獄が同時にきちゃった的な奴だと思う。
何が最悪って、君のために僕は死ぬ的な、伝説級のカッコいいメールを打つ時間が残されていないってとこだよ。
なぜこんな話をするのかって?
ここまで読むのに君が何秒かかったか知らないけど、僕にとっては一行あたりコンマ一秒もない高速回転で思考が巡ってる。
だって僕は落ちたら絶対助からないって高さのつり橋から、たった今飛び降りたところだから。
飛び降りた経緯は省略ね。
だってあと何秒かで僕は死んじゃうわけだし、失恋やそのあとに起こったことに関して説明するほど時間がない。
目下のところ僕が最悪だと思ってるのは、後戻り出来ない状況になった後に、投稿したら絶対バズりそうなネタを目にしちゃったこと。
トラックぐらいの巨大な桃が川に流れてる。桃太郎に出てくるのよりデカいやつ。
しかも僕はその桃に激突して死ぬ可能性が大。
きっと桃太郎もビックリだってコメントがわんさか付くだろうね。
そっか、これを読んでいる君に撮影してもらえばいいのか。
決定的瞬間を取り逃さないようにするには高速連写かスローモーション撮影にして……。
あっ、もう遅いね。
何かがツブれる音を聞いたとたん、意識が消えた。
夢の中で妹が僕を呼ぶ声がする。
ああ、これは走馬灯ってやつかな。
心臓が止まってもまだ数秒間、脳と耳は活動を続けていて、看取ってくれた人の声が聞こえるって聞いたことがある。
ごめん、
お前が作ってくれた弁当、今日は食べられなかったよ……。
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