第11話 2人での生活
朝、ベッドで目が覚める。
横では、みちよが寝ている。
はい。当然我慢ができず、手を出しました。
異世界だし、いいよね。
自分を納得させ、起き上がり、台所へ移動して顔を洗う。
ついでに朝食の準備をする。
無理やりならせた、木の実のフレッシュジュースと、どうしても米が食べたくて錬成した白米。
錬成味噌を使った味噌汁。
豆腐とわかめと玉ねぎのシンプルなもの。
なんの卵かわからないが、フェンリルたちが教えてくれた所にあった卵で、スクランブル。
バタータイプと醤油味にしたもの2種類。
面白がって作ってみた、アジの開きも炙ってみた。
気に入ってくれた厚切りベーコンの炙ったものを準備し、コーヒーを入れてまったりしていた。
ほどなくして彼女は目を覚まし、ボーッとしながらふらふらとこちらにやって来た。
「おはよう、体は大丈夫?」
「すごく熟睡できました。ありがとうございます」
「顔を洗っておいで、朝食にしよう」
「はーい」
ペタペタと歩いて行くが、少しぎこちない。
仕方がないな。
「すごいですね、頂きます。ご飯とか味噌汁とかどうしたんですか?」
「錬成で作った」
「生活。イージーモードですね」
「まあ創れるようになったのは最近だから。最初は大変だったよ」
「そうですよね、すいません」
「いやいいよ、自分でもずるいと思うもの」
「今日は、この後どうするんですか?」
「ああ、みちよの家を建てなくて良いようになったから、魔人族領でも覗きに行こうかと思っている」
「一緒に行っていいですか?」
「ああいいよ、少し照れるけどな」
そう言うと、じっと見てくる。
「生身じゃないのに?」
「それでも、だよ」
「ごちそうさまでした」
「コーヒーは要る?」
「はい、やっぱりすごいですね」
「何が?」
「いえ別に……」
少し落ち着いてから、家の周りにいるフェンリルたちに、周辺の警戒をお願いしてベッドで二人寝転がる。
意識を切り離し、魔人族の住むランブルに向かい飛び始める。
しばらく飛ぶと海峡が見えてくるが、話に聞いたダンジョンが気になりみちよに聞いて?みる。
〈ダンジョンの入口は、どこにあるか知っているかい?〉
〈すいません、しりません〉
〈そうか、でもこの樹海の何処かだろう。探してみようか?〉
程なく見つけることができた。
少し小高い丘があり、そこの麓にかなり大きな穴が口を開けていた。
〈かなり立派なものだね。それに一応敵襲に備えて警戒もしているんだね〉
目線の先には、壁と門が作られ手前に櫓と兵士の宿舎だろうか?長屋風の建物がいくつも建っている。
おれとみちよは壁をすり抜け、ダンジョンの入口へ向かっていく。
ダンジョン前にも門があり、そこには両側に3人ずつ門番が立っていた。
ふと、兵士の声が聞こえて聞き耳を立てる。
「あの勇者とかいうのは、いつ来るんだ?」
「途中で、モンスターと魔人族を狩りながらレベル上げとかいうのをしているから、後一週間ほどかかるみたいだぜ」
「使い物になるのか?」
「ああ、まあ勇者の方は大丈夫らしい。戦闘さえさせとけば、おとなしいとさ」
「そりゃまた、戦闘狂か?」
「そうでもないが、戦うのは楽しいらしいな。もう一人の賢者とかいうやつはだめらしくて隷属させたようだぜ」
「そうなのか」
「使い物にならなかったとよ」
「向こう側の守りは大丈夫なのか?」
「ケツを叩けば、大魔法を撃つらしい」
「そりゃ、役には立っているのか」
「ただ、味方も敵も関係なしだから、注意しないとだめなようだぜ」
「民間人も巻き添え食ったらしくて、それで隷属したっていうことだ」
「最悪だな、その賢者っていうやつ」
「ああ」
そんな話を、そばで聞いていた。
俺は覗きに行って知っていたが、みちよは知らなかったようだ。
〈妙子ちゃん。そんなことになっていたんだ〉
〈すまないな、俺は知っていたが、助ける気にはならなかった〉
〈どうして?〉
〈彼女は、自分の失敗で幾人も人を殺し、それを反省せず他人のせいにして自身は反省しなかった。それも幾度となく……〉
〈そう……〉
〈じゃあ、仕方がないわね。ダンジョンに行きましょう〉
〈ああ。そうだな〉
〈なあ、ダンジョンの詳細もきいていないよな?〉
〈うん〉
〈なら、入ってみてのお楽しみだが、ゲームで定番のアンデッドとかレイスとか死霊系のモンスターだと俺たちもやばいかもしれん。気をつけて行こう〉
〈うん〉
〈やっぱり、引きずっているようだな。今日はやめるか〉
〈ううん。大丈夫。お仕事して、お風呂入って、ビール飲んでエッチすれば問題ないの〉
〈おおっ? そうか、分かった〉
〈へへっ〉
そうして、ダンジョンへ突入した。
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