異世界の管理が悪く、(影の)管理者として派遣されました
久遠 れんり
第1章 召喚と依頼
第1話 神様からの相談
俺は、神代 篤司(かみよ あつし)25歳、工業系高校で電子工学を習い。
大学に進学しようとしたら、
「必履修科目が足りないから国立は無理」
と、先生にバッサリ切られ。
親からは私大に通わすのは無理だから、就職してと言われて他の回答を持ち得ない俺は、その言葉に素直に従った。
それでも、学校から紹介された、小さなIT関連会社に正社員として入社し、他の会社に派遣されたり、開発を請け負ったりしながら7年目。
定時で退社。
今日もいつもと同じように、軽く飯を食い、帰って寝るだけになっている、独身寮のアパートへ帰っていた。
俺の歩く、すぐ目の前には3人の学生。
男一人と女の子2人。
よくある勇者召喚にぴったりな人数。
それで、俺が巻き込まれたりするんだよね。
そんな妄想をしながら、向かう方向が同じだからついて行く。
少し歩みが遅い。女の子達と話ながらか歩いているためか。
俺には、こんな青春はなかった。うらやましいと思いながら、3人の後ろを歩いていると、ふと後ろを振り返った女の子と目が合う。
ヤバ、妄想していたんで、にやけていたか?
これだと不審者確定だななどと考え、道を変えるか思案していると、彼たちの足元に魔法陣が浮かび上がった。
そんな馬鹿な、助けようか? でもきっと俺は変な人認定だよな? それに巻き込まれも…… どうしよ?
などと考えていると、消えていってしまった……。
あ~~~~、俺は何も見なっ……。
一瞬の浮遊感。
かったことにしようと思ったが、周りが変わっている……?
俺もかよ…… 愕然として膝をつく。
周りを見回すと、よく見るシチュエーションの白部屋ではなく、緑豊かな森の中に石でできたテーブル? いやまあ、単に高さ40cmくらいの石が置かれてテーブル状になってるだけだ。
その脇にある、平らな5cmの厚みの石の上に、何故か上司が座っていた……?
「ああ来たか、呼び出して済まないね」
「上野課長ここは? 一体どこなんです? さっきは、確かに会社から出て、駅に向かっていたはずなんですけれど?」
どう見ても、課長な人は、
「私は、その上野課長ではないが良いかね?」
と仰る。
訳が分からない。
「えっ、あ、すみません」
「多分、私の姿は君の意識に引きずられているんだろう。私は誰でもあるしだれでもない」
理解不能で頭が?? となっていると、相手の顔が、3年前に父とともに事故で死んだ母になっていた。
無意識に頼ってしまったのか……。
数年ぶりに母の姿を見た。
「さて、君をここに呼んだのは他でもない。先程3人ほど、転送されていったのを、君は見たと思うが、想像通り勇者召喚で、勝手に人の管理宇宙から生物を盗んでいきおってな。あれをされると、こちらの管理エネルギーに差が出てしまう。と言っても宇宙全体のエネルギー総量からすれば、誤差にもならんようなものだが…… 実は世の中には幾層もの世界が在るが、ほかの世界への干渉は森羅万象の管理条項である規約で禁止されておる」
「はあ」
そんな話を聞かされて、俺にどうしろと?
「君からすれば勝手な此方側の言い分で、どういうことだと、なるだろうが。向こうの管理宇宙アーナキは、昔の管理者の時にはきちんと統治されていた。しかし星の生物に危機が訪れたときに、それを見た管理者が、直接干渉してしまってな。人々の願いを聞き届けて、邪神を滅してしまったのじゃ」
なんだか心を、読まれている?
「私らは基本的に…… うーん君の意識の中にある言葉だと輪廻の流れと、最終的な世界の終焉から再構築をするときのみ手を出せる。単なる監視人かの。それが、歴史の流れを決めてしまうような事柄に直接干渉をしてしまうと、俺等とて滅されてしまう。それが決まりじゃ」
意識の中の言葉って言った。やっはり分かるのか。
「それで前任者亡き後、その後を引き継いたやつが出来損ないでな。平気で禁忌に干渉するし他の宇宙にも手を出す。それが意識的か無意識かどうかはしらんが、自分が滅されない絶妙なところで干渉をしておる。まあ他の管理者には迷惑な話だ」
そう言うと、こちらをじっと見る。
「長々と言ったが、君に力を与える。迷惑をこうむっておる私達の代わりに、勝手だが管理者の管理をして欲しい。わしらからの直接の干渉は禁止じゃからの。向こうが細かい悪さを繰り返すならそれを制する種として、まあ本当は良くないが、こちらもちょっとずるをして君を送り込む」
はい? 管理者の管理? なんだそれ。俺を送り込む? なんでそんな勝手な。
「勝手な言い分で申し訳ないが、当然送り込む以上、向こうにばれないように君には最小の力を与えた状態で送り込む必要がある。大いなる力を使えるまでには、多少努力は必要になるがお願いしたい」
なんで、おれなんだよ。
こっちは一般市民なのに。
力をくれると言われても、チートじゃなく努力が必要?
「君は彼らが転送されるのを目撃した。それに言い方は悪いが、君と関わる人間関係が少なくて、つじつま合わせが簡単なのだ。普通はこの世界から消されると矛盾解消に少し手をかける。つまりいなかったことにするのだが、それをするには本人にかかわる人数が少なければ少ないほど、社会に対する影響も少ない。勝手な言い分ばかりですまんな」
まあ、おればボッチで、家族も友人も少ない…… いや居ないか。
「能力は森羅万象並びに管理者への干渉もできる管理というスキルが在る。これの力をすべて分け与えると、さすがにばれるじゃろうから…… そうじゃな。制限をかけて君の名前『司』をスキル名として与えよう。そうじゃな、鑑定をされても何をとも書かず、説明には『つかさどる』だけ明記しておこう。最初はアリや虫の管理。習熟レベル5くらいで人や魔物。10で物に干渉できるようにしようか。管理をもっておれば神威も使えるし、少々の事では問題あるまい」
俺はそこで考えることを放棄した。そうですか、よくわかないですが。干渉ですね。
「ああ、でも最低限力がないとな…… 初期段階で、あっさりと死んでしまうとは情けないとなると、わしも困るから人種のままでは心もとない。神の代理人じゃから寿命を延ばそう。魔力や体力も生物基本比全部100倍はさすがにいきすぎだな。しかし魔力は必要だから100倍で基礎値は5倍くらいでいいか。 人種もヒューマン(ハイヒューマン)と隠して見れないようにし、身体的基本能力をヒューマンの基本定数の5倍として、これに合わせて体を再構築。そうじゃな。これですぐに死ぬことはあるまい。目くらましに生活魔法と書いて全属性魔法も特性対応をつけておこう。これでよし、どうじゃ?」
「どうじゃって…… ずいぶん色々盛り込まれた感じで、さっきから体が違和感だらけなんですけど」
「まあすぐ慣れるじゃろう。色々終わった頃には、世界の階層をも超えることができる。だがその頃には時代も変わっておるだろうから…… 君には、ちとつまらんかもしれんが、見学に来るが良い。それじゃあ、時間を合わせて奴らとともに召喚されたようにするからの。まかせたぞ」
「あっ、せめてな・ま……
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