嘘と冗談
望月 悠一
第1話 入学
桜が咲き乱れる4月3日。俺はこの春からこの西宮高校に通う高校1年だ。
入学式を終え、教室での待機時間することがなくボーッとしていると「涼太〜」と誰かが話しかけてきた。声の主を見ると優しそうな第1印象の男子が話しかけてきた。俺は感動した。
なぜならこいつは小学4年生の頃に違う学校に転校してしまい約4年間1度も話すことがなかったからだ。
昔と何一つ変わらない優しい声に雰囲気。
「もしかして陽!?」
こいつは武田 陽(たけだ はる)。見た目から伝わる優しさは裏切ることなく本当に良い奴。こいつの父親はたしか偉い政治家だったっけな。たしか名前は武田 浩二(たけだ こうじ)だったかな。よくテレビで見る知らない人はたぶん日本にいないと言っても過言ではない有名人。
「よく気づいたね〜!僕が陽だってことに」
「お前こそよく俺に気づいたな!」
「そりゃあ気づくよ〜だって僕は…」
教室のドアが突然開き陽の言葉は途切れてしまった。どうやら担任がちょっとした会議から戻ってきたようだ。
「あ、じゃあ僕は席戻るね!」と言われとりあえず「あぁ」とは返したものの陽が言いかけていた言葉が気になってしょうがない。帰りにでも聞いてみよう。
担任が自己紹介を始めた。
「今日からみんなの担任になった佐々木 千恵です!よろしくね!」
俺らの担任になった佐々木 千恵(ささき ちえ)。たしか新任だった気がする。通りで若い、そして普通に可愛い。これは媚び売りまくるしかないな。
「それじゃあみんなも自己紹介しましょうか!じゃあ1番の君から!」
と、出席番号順に自己紹介が始まっていく。俺は出席番号が若い方だからすぐに順番が回ってきた。
「西中から来ました、神崎 涼太です。みんなとは仲良くしたいなと思っているので気軽に話しかけていただけると嬉しいです。」
どこでも聞けるような自己紹介をしてしまったな、なんて思っていると右隣の女子が話しかけてきた。
「神崎君って言うんだね、これからよろしくね!」
俺は出席番号的に、窓側の列の1番後ろという俗に言う主人公席というものに座っている。
その関係上後ろはロッカー、左隣には窓の状態だった。
「涼太でいいよ。たしか君は…佐藤さんだっけ?」
「えぇ!凄い!よく分かったね!」
おいおい、他の人自己紹介中なんだからもう少し静かにしてくれ。
「なんで分かったの〜?私が佐藤って」
「そりゃあ教室入る時に自分の席確認するついでに隣の人の名前くらい見ちゃうだろ」
佐藤がなるほどね〜となぜだか嬉しそうにしていると佐藤の自己紹介の順番が回ってきた。
「佐藤 梨花です!北中から来ました!気軽に梨花って呼んでね〜」
佐藤は自己紹介を終え、席に座り、
「涼太も佐藤じゃなくて梨花って呼んでね!」
「まぁ考えとく」
なんて話していると陽が自己紹介を始めた。
「北中から来ました武田 陽です。よろしくお願いします。」
教室に陽の優しい声が響き渡る。やっぱり俺はこの声が好きだな、なんて思いながら今日が終わった。
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