一触即発と救援

 さてさて、勢いよく啖呵切ったはいいがこの野郎を筆頭に向こうさん方をやる気にさせちまったようで、男は明らかにブチギレた顔を、女達はにやにやと面白そうな顔をして立ち上がり、こちらを注視してきていた。



「きっきさまぁ!無礼なその態度の数々!いくら温厚な私でも目に余る!おい、お前達!この無礼者に教育をしてやれ!私の前で土下座させ、謝罪させた後は好きなようにして構わん!」


「いよっしゃあ!さすがは天下の大隊長殿!ふとっぱらですなぁ!というわけだ、兄ちゃんよ!あたしらの酒のつまみにさせてもらうとするぜぇ!」


「ちょっとリーダー!うちらにも残しておいてよ!」


「ヒヒヒ…久しぶりに楽しめそうだぜ!」



 くそ!こいつ等沸点低すぎだろ!こんなことなら適当に話し合わせてホープを待っとくべきだった!


 とその時酒場の入り口が勢いよく開き、期待していた声が聞こえてきた!



「お前たち動くんじゃない!さもないともれなく全員の頭にもう一つずつ穴をあけてやるよ!」


「ユウタさんに近寄るんじゃないよこの盗賊風情が!!」


「ちょっとでもおかしな動きしたらハチの巣にしちゃうんだからねぇ!!」



 勢いよく入ってきたのは、ホープはもちろんリーンとメルの歩兵コンビも獲物を構えながら一緒に来てくれた、おかげで目の前の連中も入口に注視せざるを得なくなり膠着状態となった。



「なんだてめぇら!?関係ねぇ奴らはすっこんでろや!」


「こちとらバリバリ関係者だよ!そこにいるユウタさんの仲間コイビトだからなぁ!」


「そうだよ!メルとユウタさんは仲間アイジンなんだからねぇ!」



 ……あれ?なんか二人の言ってた言葉の所々にニュアンスが違う感じがなかったか?



「人の男に手を出そうなんてふざけたやつらだ、が僕は今多少気分がいいものでね…そのまま出ていくならここは見逃そうじゃないか、君たちは命が助かる、こっちは無駄玉を撃たなくて済む、対等な取引じゃないか?」


「何をふざけたことを…「いい加減にしろ!このグッド中佐を差し置いて何を勝手にしている!構わん!全員抜銃!こいつらに身の程を教えてやれ!」ああ!くそっ!ってめぇら!いっちょかましたるぞ!」



 まずい!他の様子見していた連中も銃を取り出して臨戦態勢になりやがった!



 その時突然天井からけたたましい機械音が響き渡り、上を見上げると回っていたファンが引っ込み代わりに逆さ向きのタレットが生えこちらに銃口を突き付けてきていた。



「俺の店で好き勝手はさせんぞ、全員死にたくなかったら銃をしまうんだ…言っておくがこの下は柔らかい土になっている、50口径を何発ぶっ放そうが跳弾なんぞしないから遠慮はせんぞ?」



 カウンターの向こうで、マスターが片手でリモコンを握りもう片方に拳銃をこちらに向けながらそう言い放ってきた。



「だ…大隊長どうします…?上のやつどう見たってすぐに壊せそうにはありませんぜ…?」


「ぐぬぅぅ~~~!ふっ、ふんっ!こんなちんけな酒場で怪我するのもばからしい!お前たち運がよかったな!大隊員諸君!行くぞ!」



 グッド中佐がそう言うと半数以上がほっとした表情を浮かべ、もう半分は残念そうにこちらを見てきた。



「あ~あ、せっかく楽しめると思ったのによぅ~、大隊長殿がいうならしかたねぇ、お前ら!行くぞ!」


「「「「了解アイ・マム」」」」



俺に絡んできたグループはリーダーの掛け声でそのまま出ていき、ほかの連中はそのまま、件の大隊長はこちらを睨みながら出て行った。



「ふぅ~、今回はやばかった…三人とも助かったよ、マスターもありがとうございました。」


「……あの流れ者連中よりお前さんたちの方が利益になると踏んだ結果だ…俺の期待を裏切らないでほしいものだな…」


「まったく…ユウタ君は目を離すとすぐに女が寄ってくるんだから、これからはしっかりと僕から離れないようにしてくれよ?」


「こいつの戯言はほっておいていいから、ユウタさんは確かに危機意識をもっと持ったほうがいいぜ?」


「そうだよぅ~!もうユウタさんは1人の体じゃないんだからね!しっかり今後の生活設計なんかも考えないと!」



なんか所々変な忠告があったけど、言いたいことはよくわかる…



「ああ、これは俺が油断しすぎだったよ…これからは誰か1人は護衛についておいてもらうことにしよう…まあ、3人そろったなら都合がいい、みんなでこれからエイミーの家に行って用事を済ましてしまおう。」

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