私の手に銃があったなら
つきみなも
一時間目 私の手に銃があったなら
今、私の手に銃があったなら、誰に向けて誰に撃つだろう。
嫌いなやつ?生きてたら都合の悪いやつ?
そうだね。そういう人に向けて引き金を引くかも。
「2068年5月4日、歴史の授業を始めるぞ。今日は平成からだ。367ページ開けー。」
高校に入って2年目。毎日ミスばかり。
人間違い、勘違い、チャットでの誤送信、発表で答えを間違う。
恥の多い人生を送って来ました。恥ずかしすぎて死にたいです。
友達はゼロ。女子としてどうかと思います。
女子はどうやら話すことでストレス発散をするらしい。すると私はどこで発散をしているのでしょう?
歴史の授業中、そんなことを考えながら窓の外の今にも消えそうな雲を見ていると、突飛な光景が頭に浮かんできた。数秒経って夢だと気づいた。
「いっつも、いっつも私!」
夢の中で私の怒声が聞こえた。
「誰に怒ってるの?」
私は私の声がした方に問いかけてみた。
「あんたよ!私をいつもいつもいつも――のはけ口にして!!」
すごく気になるところが音のモヤ?みたいなので聞こえなかった。
「新宮。大丈夫かー?」
「はぅ!」
びっくりしすぎて変な声が出てしまった。みんなが蔑むように笑う。
私はどうにかいつものこといつものこと、と落ち着かせようにも内心は死にたいぐらい恥ずかしかった。
私の手に銃があったなら!と強く思う。
「みこちゃんみこちゃん!あれやってよ!」
授業終わりにどう見ても悪意のある顔をした陽キャ女子二人が話しかけてきた。
私の手に銃があれば。拳を握りしめながらそう強く思った。
陽キャは陰キャに同じことを何度もさせたがる。無意識に立場の差を作って逆らえないことをいいことに楽しんでいるのだ。私の苦しみも知らずに。本当にお転婆で脳天気な輩だ。全く好めない。
にしも、こいつらのネーミングセンスは陽キャの中ではまともだなと思った。「深琴」から一文字抜いてちゃんをつけて「みこちゃん」
男子だとおならをすれば[屁こきマン]、トイレで個室に入れば[うんこマン]、どこから取ってきたのか不明な[マイケル]や、[はにょ]等酷いものである。そしてこれでも高校生である。小学校の頃ちょっと仲が良かった男子は具合が悪いときにトイレに吐きに行って、ゲロピー星人という名前をつけられていた。良くも悪くも、小学生のネーミングは独特だと思う。
ちなみに私は態度があまりにも冷たかったため、サイコパスや冷徹女などアブノーマルそのものだった。
「はぅ!?」
またやらかしてしまった。不意に、不意すぎる肩ちょんちょんは心臓に悪いのだ。
「きゃっ!ごめん!こ、これ名前無かったけど文字で新宮さんってわかったから、ほんっとごめん!!」
「・・・ありがとう。」
名前を書いてなくて少し手こずらせてしまったことに対しての「ごめんなさい」が出てこなかった。なぜならまた冷笑が聞こえるからだ。
「ごめん・・・!」
流石にこの子供っぽい子にため息をつくのは酷だとおもい、やめた。陽キャたちなら堂々と威嚇するが如くやっている。
「・・・わかった。今度から名前書く。」
冷笑でやられっぱなしというのも気分が悪いので消しゴムを本気で笑ってる男子の方に投げてやった。
反応は目に見えている。
「うわ!あいつガチギレしたぞwこわw」
誰か私の手に銃を置いてくれ。45口径の頭吹っ飛ぶやつを。想像がついていたとしても腹立つものは腹が立つ。目立たないからって動物園の猿扱いをするのはどうしても許せない。
私はクラスでやたらもてはやさられるいわゆる「イケメン男子」が苦手かつ嫌いだ。奴らのテンションとノリにはついて行けないし、そもそも奴らに人の心があるのかすら疑ってしまう。
というか何人と付き合った、オレの彼女かわいいやろ等々気持ち悪い。
あ。殺意のあまり別にいだろってところまで批判してしまった。いかんいかん。これじゃ奴らと一緒だ。
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