第3話【モヤモヤに隠れてたモノ】
夕食を終え、リビングでチョロと寄り添いながらテレビを見る。
疲れているのか少しウトウトしてしまう。
その様子を見て寝たと思っているのか母が父に言葉を掛ける。
「あの子、まだ学校でお友達できてないのかしら」
「あの様子じゃそうだろうな、辛いな」
「先生とも今日話して来たんだけど、先生の前では何もされていないみたい。だけどあの子様子を見たら分かるからもどかしいって」
「そうか・・・」
「でもそこで先生が入ってしまうとより陰湿になってしまうかもしれないから、何とか解決の糸口を見つけたいと言ってたわ」
「他の生徒の親と話す機会はまだ作れないのだろうか」
「それなんだけど、急だったんだけど今日の話し合いに特に酷く当たってくる三人の生徒の保護者も参加してくれたの」
「そうだったのか」
「全員、先生から事前に話を聞いていたのと公開授業の時に違和感を覚えたそうなの、休み時間の時には仲間外れにしているところを見たそうよ。でも自分達が見ていることに子供たちが気付いたみたいで一緒に遊び始めたみたい」
「それでね鬼ごっこをしていたみたいなんだけど、その最中にもキツイ言葉を投げ返る時があったみたいで思わず注意したみたい。でもあの子が笑顔で遊び続けていたんだって」
「うん・・・」
「その光景を見て、自分たちの子があの子をイジメいていると認識したって、何度も何度も頭を下げて謝ってくれたわ、先生方も」
「悔しいな、大人が介入しても上から抑え込むしかできない。横に逃げられもっと陰湿になってしまうかもしれない」
「校長先生もそうおっしゃっていたわ、だからこそ中途半端にしてはならないって。あの子の為に」
「心強いな。あの子の為に俺達もめげずに頑張ろう」
「そうね」
驚きだった。
嫌われていると思っていた担任は僕のことを思ってくれていた。
校長先生も気にかけてくれていた。他の先生たちも
同級生の保護者も。
何より心配かけたくなくて隠していたはずなのに、両親にはばれていた。
解決しようと仕事も忙しいのに話し合いをしてくれていた。
「LIGHT HOUSEの店主に話を聞いてきたよ。今日は帰り道で酷いことを言われたらしく、泣いてしまったそうだ。」
「そうだったの・・・」
「感情を出せる場所があって良かった。店主にはしっかりお礼を伝えておいたよ」
「うん、ありがとう」
雑貨屋さんも僕を守ってくれていたんだ。
周りの大人たちは皆、僕のことを思って、気にかけてくれていたんだ。
気が付くと涙が溢れていた。
嗚咽が出るほど泣いた。
父と母がそれに気付き、僕を二人で抱きしめてくれた。
チョロは足に寄り添ってくれた。
僕は学校に行っている間も、帰ってきてからも、ずっとずっと一人じゃなかった。
少しだけ心もやもやが晴れた気がした。
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