甘い海

青のキカ

甘い海


大抵情けない夜

どこか遠くを見つめるその目


知って欲しくて

伝えようとすればするほど

何もかも上手に伝えられなくて


あなたが呆れたように笑うたび

私が空っぽになる気がする

それでもいつか、かつてのあの目で

もう一度だけ私のことを大事だと言って


私は何もかもが足りなくて

あなたを幸せにはできない

細くなる目、目尻の皺

その笑顔を思い出すことさえ

私には贅沢で

すべて、何もかもが遅すぎる


私たちの出会いと、離れ離れになることが

無意味じゃなければ少しは救われるのか


楽しかったよの一言で清算できれば

ありがとうの一言で笑い合えれば

またねの一言で振り返ることなく歩き出せれば


一面が甘いジュースのような海で

二人じゃ飲み干せないよと笑った


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