間違えた✩.*˚

第2音楽室に響き渡る音がすんなりと耳に入る。

楽しいことはすぐに時間が過ぎてしまう。

学校とは全くと言っていいほどに異なるね。

部活動では、周りからは見えない自分の世界に入って、まるで幻のようなものをみているかのような気分になる。不思議な気持ちだ。

合奏中、ふとした時にぼーっとしていると、

遠くから鳴く蝉の声や、水墨画のような山々、

私の心のようにここから遠ざかっていて見えない

くらいに小さな電波塔が私の世界の中に入ってくる

何故か落ち着く。この雰囲気が私は大好きだ。

雲がゆっくりとどこかへ旅をしに行く。

雨が降り注ぎ、霧がかかった向こう側の世界。

そして私はここで彷徨っている。

どの世界が正しいのだろうか。

道を踏み外すと、苦痛で仕方がなくて

自分以外の神秘的な力を込めた肉体が侵入してきて

今の私の頭はパンクしそうになる。

それに加え、鼻につくキンキンとした甲高い誰かの声と、どうしても乗り越えられないにぶつかるんだ

それが嫌で仕方がないから。

どうしても壊せないから。

毎日なにかから追われている。

迫ってくる不安と恐怖が混じり合い、

私の世界は歪み始める。誰かが私を呼ぶ。とても遠くから、強く怖く。

「もう時間か。」

今日も不安と恐怖の壁にぶつかり怪我をする。

毎日体を痛めつけているようなものだろう。

私は何をしたいのだろう。

何をしているのだろう。

その気持ちが強まると共に、いつの間にか幻の世界に戻っていた。とても分厚く熱いコンクリートの床と柔らかい心が連動して、ハラハラしていた体も

まるで水に入ったかのように冷め始め、落ち着いた

この世界が大好きだ。もう踏み外したくない。

でも毎日なにかに追われて。時間が来ると連れ戻されてしまう。毎回誰かが私の名前を呼ぶ。

私を追うなにかに沢山逃げ回った日もあった。でもそれは、私のタイムリミットをだんだんと短くして行く。私はこの世界から連れ戻される度、

視線が怖くなりどんどん辛くなる。苦しくなる。

泣きたくて。消えたくて。でも何故か笑う。

体が笑わなくちゃいけないと思っているからだろうか。そんな感じがした。

誰かに呼ばれた。いやに早いな。

でもそれはいつもと違って、とても近く、優しかった。





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