介護支援専門員って知っていますか
先日、無事に書き終えることが出来ましたカクヨムコン8のエントリー作品「栄光の陸軍技術研究所」に登場します、青砥萌咲が転職したのが、「介護支援専門員」という仕事です。
介護支援専門員と言いますと、まあ横文字で言いますと「ケアマネジャー」さんです。こちらのほうが、聞いたことあるという方が多いのではないでしょうか。
現在の介護保険法は、ドイツの仕組みをお手本にして導入されました。導入時、プランを作成し、利用者のサポートをする役割を誰にするか問題が勃発。当初は、社会福祉士が担うべき論が出たそうですけれども、絶対的に人数が足りなかったそうです。
社会福祉士と言えば、今回の国家試験が第35回。つまり、ここ35年くらいの歴史の浅い資格です。社会制度に熟知し、ゆりかごから墓場まで。クライアントの権利を擁護する資格ですよね~。私はよく理解していませんでしたが、一緒に仕事をしてみると、とっても熱い方が多いなあと思います。
じゃあ、社会福祉士に任せられないなら、作ったらいいじゃないか。そこで出来たのが、介護支援専門員です。この資格は医療や福祉の基本資格を有し、5年以上の経験がないと受験できないというもの。都道府県に登録をすることになります。
試験を受けて合格。じゃあ、仕事しますか——! ってわけにはいかず。合格者たちは、実務研修として、法定研修を受講しないと、資格がもらえないという、なんとも面倒な二段階方式なのです! 講義時間は87時間以上。実地研修もしなくてはいけません。
しかも更新制度があり、5年の間に、専門Ⅰ、専門Ⅱという研修を受け、実務に就いている実績がないと更新できないという、なんとも厳しい資格です。
ちょっとどこの資格より厳しくないかい?
なぜこんなにもマメに研修を義務付けられるのか。資質向上もありますが、なにせ介護保険法って、ころころと法改正が入ってきますから。こういった研修を受けて、国の意向に見合った教育を受けていかなくちゃいけないんでしょう。この業界、アンテナ高くしておかないと、あっという間に情報難民になります。
こんなになるのも、維持するのも大変な資格なんですけれども。今まではそこそこ給料がよかったので、そこそこなりてもいたんです。ところが、ここ数年。国が介護食の給与アップにテコ入れをしはじめまして。現場の介護職たちの給与に直接、跳ね返るような加算をつけてきたんです。
これは、あくまで現場の方が対象。おいおい、介護支援専門員だって現場だろう?って思うところですが、国としては「もともと、給料いいでしょう? おたくら」ってことで、介護支援専門員には、この加算が適応されないのです! なんと恐ろしい。
必死に勉強をして、研修も受けて頑張っているというのに、現場の介護職のほうが給与が高い。それなら、現場のほうがいいじゃないか。そう思うのは当然のこと。で、介護支援専門員の担い手不足が目立つようになってきたというわけです。
私はこの仕事、絶対にできないな~。本当にね。大変ですよ。利用者からしたら、「一か月に一回来る人でしょう? 楽な仕事よね」って思われるかも知れませんが。彼ら、彼女らは、ともかく忙しいです。24時間、携帯持たされて、いつだなしに電話がかかってきます。盆暮れも関係なしです。
使うサービスが変われば計画書を立て直し、関係者を集めて会議をします。サービス事業所からの苦情も、利用者からの苦情も、全てが介護支援専門員のところに上がってきて、「まあまあ、堪えて」「ここはこの辺りで折れてくれませんかね?」って双方に頭を下げまくりですよ。
娘のお友達のお母さんが、最近、介護支援専門員を始めたんですけれども、会う度に愚痴です。
「なんで私が他人の代わりに頭さげて、『すみません』って言わなくちゃいけないんだ。本人はのんきにしているっていうのにさ!」ってぼやいていました。
仕事ですからね。致し方ないんです。でも気持ちはわかりますよ。
「利用者の家族なんてさ。自分たちが休みの日に来いっていうじゃない。なんで子供のためには有休取るのに、親のためには取らないんだっつーの」
それもわかるよ。わかります。うちの上司には「こっちの都合も言っていいんだぞ。あっちに合わせてばかりいる必要はないんだ」って言ってくれるので、いいですが、介護や福祉の業界って、「断る」ってことが出来ない人が多い。
断ったり、突っぱねたりすると、なんだか悪いことをしているような気持ちになる人ばかり。だから、どうしても無茶な要望をされても、つい断りきれなくて、やってしまうという人がすごく多いです。
でもそれってね。本当の優しさではないと思うんですよね。自分がずっと担当できるなら、それでもいいのかも知れない。けれども、慣れた頃に担当者が変わって、「それはできませんよ」なんて手を離されちゃったら、それこそ利用者が困るわけです。
ダメはダメ。ただ「ダメ」って言うのじゃなくて、理由をきちんと述べて理解してもらう。どうしても叶えたいなら、代替え案を模索したり、妥協点を見いだせる話をすべきなんだと思うんですよね。
介護支援専門員は優しいばっかりじゃ成り立たないですね。いや、本当に大変なお仕事です。私は無理だ~。萌咲ちゃんは、優しい反面、はっきりとお話が出来るタイプですから、きっと。いい介護支援専門員になってくれるのではないかと思います。
いやね。長々と書きましたが、結局は、介護支援専門員の方に出くわしたら。「ああ、苦労してるんでしょう。頑張ってね」と内心思いながら、優しくしてあげて欲しいって話でした。
今朝は自衛隊の車も雪にはまっていました。すごいつるつるですよ。これぞ冬。家でぬくぬくと過ごしたい週末です。
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