異世界転移されたハズレ扱いの少年は魔女と一緒に暮らします

イズミント

プロローグ

プロローグ~少年と魔女~

「カズくん、起きて。 朝だよー」


「んぅ……」


 とある場所で寝ていた僕は、ある女の子の声で目が覚める。

 何とか身体を起こし、窓の外を見る。

 朝日が差し込んでいるので、確かに朝だと実感する。


「おはよ、カズくん♪」


「うん。 おはよう、ルカ」


 僕は自分の事を『カズくん』と呼ぶ女の子に視線を向けて、挨拶をする。

 僕が『ルカ』と呼ぶ女の子も笑顔でこっちを見ている。

 可愛いなぁ。


「あれから半年だよね。 時が経つのって早いね」


「ああ、思い出したくないけど……、ルカが助けてくれなかったら僕はあのまま死んでたしね」


「あの時、丁度ボクが向こうが『魔女の森』と呼ばれてる森の中の小屋で動向を見張っていたんだけどね。 あんな事までするとは思わなかったよ」


「勝手にこの世界に飛ばされた上で、スキルも持たない、能力も低いと言うハズレ扱いにされたからね」


「そもそも、アレは禁忌扱いの術なのに、よく行使できたものだよね。 今となっては壊滅したからどうしようもないけど」


 実は僕はこの世界の人間ではなく、今では既に壊滅している王国の手によってこの世界に飛ばされた人間だ。

 僕の他にも30人くらいいたが、能力確認で僕だけがスキルも持たず、能力も低いと言ういわゆる『ハズレ』扱いの存在にされた。

 僕は兵士に意識を刈り取られ、その後は『ルカ』が言うには自分を保護する時はボロボロの状態だったという。

 彼女に助けて貰った事で、事情を話し、今はここで一緒に暮らしているのだ。


「そういや、女神様が選んだ『勇者』は?」


「順調みたいだよ。 今は四天王のうち二人を屠ったって」


「それは何よりだね。 僕としてはゆっくりこの地で暮らしたいしね」


「うんうん、ボクも同じだよ。 キミと一緒にこうして暮らせればいいしね。 さ、朝ご飯を食べて今日は素材を集めに行こうか」


「了解」


 彼女と色々話をしてから、そろそろ朝ご飯の時間なのでベッドから降りて食事に向かう。


 さて、僕こと木崎きさき 和正かずまさがどういう流れで今に至ったかを簡潔に話したが、今度は詳しく半年前の話に付き合ってもらおうと思う。

 

 そう。

 この世界……、異世界『クリファリア』に召喚される直前の出来事から……。


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