北の四つ子

千蘭

プロローグ

 異常な事が続く年だった。


 ギーレン王国の北領で、今まで森で大人しく暮らしていた魔物が、急に街を襲うようになった。人々は今まで関わってこなかった魔物に対処できず、住む場所を失った。

 四季がなく毎日が冬である北領では、人が住める土地が少ない。極寒の中で息絶える人も少なくなかった。


 北領を治めていた領主も、前例の無い難題たちに悩まされていた。

 家なき人々のために自分の家を解放して住む場所を与え、方々に出向いて魔物を討伐していった。しかし、そんな対処は無駄だと言わんばかりに、より強く、より賢い魔物が増えていく一方だった。




 そんな年のいつも以上に吹雪が激しい日、領主の元に特別な瞳を持った四つ子が生まれた。

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