嘘つき

俺とお前は嘘つきで、罪人だ。でももう後戻りはできない。情熱は一時のものだと知っていたはずだった。けど、掴みどころのないお前と出会って必死にしがみついた。俺はお前に嘘をついたよ。お前も、嘘をついていた。後戻りはお互い出来ないと分かっていた。初めは煙草の煙に急き込んでいたお前が、今ではそれを待ち遠しくしてることも分かってる。DV男なんて殺してしまうのが正解だったんだ。二人で殺して、逃げて。社会に溶け込んで。俺もそのうち罪の意識でおかしくなってしまうのかと、恐怖に駆られて。でもお前は、いつも欲にしか忠実じゃなかった。

俺もいつか殺されんだな

分かってた。分からないようにした。お前のことを変えたくて。飽きたら捨てる。飽きたら殺す。お前今までどれだけ罪を重ねてきたんだ。何があってそうなったんだ。俺はお前と過ごした日々を信じるよ。

 二人で自首しよう

 いいよ

そんな嘘、俺には見え見えなんだよ。殺せ。お前になら殺されてもいい。

 敢えて俺は買っておいた。俺の吸っている銘柄の煙草を。お前、煙草吸えんだろ。俺にはお前の嘘が見えんだから。

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