チェーン
によ
受動喫煙
あなたが煙草を吸うからいつの間にか煙にも咳き込まなくなった。でも私が煙草を吸いたいとは思わなくて。あなたの口から吐きだされる煙を私は今日も食べる。あなたに体内から犯されている感覚がたまらない。
「もっかい」
汗ばむ私たちの体は罪そのもの。私たちはお互いに罪を重ねる。忘れたふりをして、覚えている。鮮明に。そうしないと私たちは一緒にいられない。そのくらいでいい。
煙草、吸うの?
吸わねーの、お前?
うん、でも吸っていいよ。好きだから
好きだから許せた。そのうち私も好きになった副流煙。害なんかじゃないよ。私にしたらそれは甘い、甘い蜜なんだから。
私たちが一緒にいられる空間は、ラブホテルの中だけで。もうそこは私たちの家のよう。二人で買った夢のマイホーム。分かっているよ、ここを出たら私たちは、もう他人。あなたも私も、ただ遊びの恋をしていた過去に出会えたら良かったのに、と何度も思った。でも出会ったのは今だった。どこかの昼ドラなんて、現実にたくさん転がっている。非日常に憧れる奥様達が食いつくそれは、今の私が手放したい現実。
二人で自首しよう
あなたは、最後の煙草を吸い終わった後そう言った。ごめんね、私にとってのあなたは自分の身を殺すほどに値しなかったの。
そうして私は今日も死体を隠す。あなたが吸っていた銘柄の煙草を吸いながら。吸わないだけで、吸えるのよ。咳き込まなくなったから、少しは私もあなたに変えられたのね。本望でしょ。嘘つき? 素敵じゃない?
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