によ

チョコレートを一粒食べる。

「おはよう、朝」

私はきっとタイムリープしているのだと思った。

だけどそんなことは、起きて数分で忘れてしまう。


今まではそうだった。

そのはずだった。

現実の今が全く同じ過去になっている気がした。

制服に着替えて同じ電車に乗る。

電車の中には必ず蛾が1匹。

私の胸元に留まる。

まるでハイセンスなブローチみたい。


大きく息をすると蛾はフラフラと飛んでいく。

音楽を聴きながら 、晴れ晴れとした空を見た。

高層マンションが目に入る。

そこから飛び降りた女の子がいた。

あの子はきっと努力が嫌いだったんだろうな。

置いて行かれた気がしたんだろうな。なんてね、



いつもはきっと当たり前すぎて同じように見えていたけれど、その1つ1つが大切だったのだと。

ああ、今を生きる人間なのだ、私は。

ヒトという形の中に生きる魂なのだから、好きなように生きればよかったな、と。



後世は、alienにでもなろうかな。



そう思ったか否か、私が大好きだった空の上まで一気に打ち上げられた。



さようなら。こんにちは。



2016.09.17 執筆

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