禁断の恋愛

によ

禁断の恋愛

「好きです!」

「ごめんなさい」

彼女はため息をつく。

彼女を振り続けて四十八回目。彼女は僕のことを諦めてくれない。

「君とは付き合うことが出来ません」

彼女はほっぺたを膨らませながら「なんでですか!こんなに可愛くて、ピチピチなのに!」と言う。

「なんでかと言うとですね、君は、生徒で、僕は教師だからです」

そう、僕はここの高校の教師で、彼女は生徒なのだ。

「そんなの関係ありません!」

今日はやけに食い下がらない。

「関係ないことないんだ。教師と生徒は付き合えない」

「じゃあ、生徒じゃなかったらいいんですか〜」彼女はスカートをピラピラさせながら言う。

「そんなはしたないこと辞めなさい。第一、君はそんなことをするタイプじゃないだろう」

彼女はクラスで地味な方だ。前髪は目を隠し、メガネをかけていて、休み時間はいつも本を読んでいた。

「私のこと、見てくれてたんですね」

彼女は嬉しそうに、なぜだか泣きそうに言った。

「先生のために可愛くなろうと思って、髪の毛も切って、お化粧も勉強して、だいぶ変わったでしょ。私」

確かに彼女は可愛くなった。だからと言って、付き合うことは出来ない。

「お願い…だから…」

彼女は言葉に詰まりながら、言う。

「お願い、だから…。戻ってきて…。く、ださい。私、伝えられなかった…。だから」

僕は泣いている彼女の頭を撫でた。僕の腕は彼女の頭をすり抜ける。

彼女を撫でることは出来ない。

「私のいじめから救ってくれたの、先生じゃないですか。私、友達も出来たんです。ちゃんとありがとうも言えてない」

「違うよ。僕は君の手助けをしたに過ぎない。君の力だよ」

僕の体はほぼ透明になって行く。

「好きです。先生。ありがとうございました」

彼女は泣きじゃくりながら、空に向かって叫んだ。

僕は笑顔で手を振った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

禁断の恋愛 によ @niyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る