BEST FRIEND
によ
BEST FRIEND
私は彼が好きだ。
彼と言うのは、田所くん。
ちょっとヒョロイけど、好きだ。運動神経は案外良い。
出会ったのは高校一年生の時。
同じクラスだった。奇跡だった。八クラスもあるのに同じになった。
もうそれだけで運命だと思うんだ。
だけど二年生のクラスは違った。普通に運命じゃなくて偶然だった。
三年生で、また同じクラスになった。やっぱり運命だった。
私は楽天家だけど、意外と部活に励んでいた。
でもやっぱり楽天家で呑気だから、よく怒られた。
何がいけないのか分からない時もあった。私の性格がいけないのかと悩む時もあった。
そんな時は彼が相談に乗ってくれた。
彼も部活動をしていたから、彼の相談も良く聞いた。
私たちは周りから見ても、かなり仲が良かった。
彼はそんなにモテなかった。それが救いだった。
彼女なんて出来た日にゃ、発狂してしまっただろう。多分風邪をひいて学校を休んでしまうだろう。
修学旅行も一緒に回れたし、まあ二人でじゃなくて班でだけど。
好きって言う気持ちは、案外簡単に膨らんで行く。
しかも最大っていうのがなくて、無限に膨らんでいってしまう。
無限に膨らんだ風船っていうのは、破裂するとめちゃくちゃ大きい音で割れるから、それが怖くて、私は告白しなかった。
でも三年間、彼のことが大好きだった。
卒業式の日、彼に告白する女の子が何人かいた。あ、彼、意外とモテるんだ。と心中複雑だった。
私も簡単に告白したいと思ったけれど、その気持ちは箱の中に入れて鍵を閉めた。
大学生になった。別々の大学だけれど、仲は相変わらず良かった。
彼と良く電話をしていた。
「彼女が出来たと」、自慢げに言う彼に、「良かったね」と心臓が止まりかけそうになりながら言った。
「お前は、最高の友達だわ」と彼が明るい声で言った。
「だろ!」と、しか言えなかった。気の利いた返事ができなかった。
この気持ちは、さらに閉まって置かなければいけないな、と私は鍵をかけた箱をさらに大きな箱に入れて、頑丈な鍵をした。
これはもう、私ですら解くことは出来ない代物だから、もう彼に対して好きの気持ちはない。
私は、彼とのこの距離が心地いい。
最高で、大好きな友達。
これからも、ずっと。
「仲良いよな。お前ら!」同窓会で周りが言う。
私は彼と肩を組みながら「親友だからな!」と笑う。
BEST FRIEND によ @niyo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます