外野
によ
外野
「僕は、大きくなったら野球選手になりたいです!」
何のためらいも、恥ずかしさもなく、小さな僕は大きな声で言った。
「君ならきっとなれますよ」
と先生は笑顔で言った。
大きくなるにつれ、周りの言葉は変わっていく。
母は「この子、野球しかしないの。勉強しないと良い高校に入れないのにね〜。野球もそのうちやらなくなるのに」と言う。
先生は「強豪校に行く!?お前じゃ無理だ。練習にすらついていけないだろう」と言う。
友達は「お前は良いよなあ。エースだからモテて。でもうちの中学じゃ行けても三回戦だよな」と笑う。
僕は「体格も良くないし、背も低いし、やっぱり野球は中学までだな〜。高校に入ったら、バンドでも組んで、もっとモテるぞ」と、いつの間にか笑っていた。
・・・・・・・・・・・
「私、漫画家になる!」
ずっと夢だった漫画家になるため、専門学校に入学した。
両親は私の熱意に押され負けた感じだったが、私はここで花を咲かすんだ!
ずっと頑張ってきた甲斐もあって、私は小さな賞に選ばれた。
「お母さん、お父さん!私、選ばれたんだよ」
私は両親に自分の漫画が載った本を手渡した。
「ちょっとお母さんにはよく分からないわ」母は言った。
「もっと明るいお話はかけないのか?」父は言った。
でも私はめげない。
きっと学校でも先生に褒められるだろうな。
「このクラスで、二名受賞した生徒がいる」
ドキドキした。
「新人大賞に佐藤。それと他の出版社の佳作で佐々木。佐藤、お前のレベルはかなり高い。佐々木も頑張ったな」
私は私が小さく思えた。
上には上がいる。私の描いたものは理解されない?
何やってるんだろう。普通の大学に行けばよかった。
努力が足りなかった?何がいけないの?
私は学校を辞めた。
外野 によ @niyo
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