心障の果実
をぱりお
序章
ある一つの事件が世界を震撼させた。
それは世界でも類を見ない、歴史を塗り替えるような出来事となった。
殺人事件としては、戦後最悪。未成年が起こした事件としては、日本の歴史上、過去に類を見ない最悪の事件として、歴史を刻んだ。未だ事件の被害者の全貌は明らかになってはいない。だが、確認できているだけでも既に五百人以上の人が犠牲となっていた。この事件は当時17歳の少年の手によって起こされた。そして少年の証言の下、今もなお、被害者たちの遺体が発見され続けていた。また、少年は被害者の場所やその数を正確に記録していた。
その数、実に8080人にも及ぶ。
この事件が明らかになったのは、少年の自首によってであった。だが、少年は後にこうも語っている。「自分を殺してください。さもないと僕はまた人を殺します」と。少年はその後、死刑宣告されその生涯を終えることになる。少年は何故、罪を犯したのか。そして何故、自首することを選択したのか。
――これは少年が殺人犯になるまでの軌跡を描いた物語だ。
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