第165話

〜リアウタン王国 王都 王城 王族プライベートエリア〜


「今回は災難でしたね?シエラ」


「災難なんてもんじゃないですよフランシス陛下」


ヒロキくんに異常種の武器を王家に売っといてと押し付けられて嫌々王都に来たけど、色んな妨害を受けてまぁめんどくさかった。

影魔法使いと言うこの世界で1人しかついていないであろうジョブのメープもいたのでいつもより妨害が酷かったし。

王都に入るために手を置かないといけない水晶はキャラレベルやジョブ、スキルなどを表示してしまうものなので隠しようがなかった。


王都に侵入する不審人物を1人でも減らすためとは言えそんなものを設置しているから。

高ランクの冒険者は王都に来たがらない。

別に国に使えている訳じゃないのに全て知られるなんてたまったもんじゃないという訳だ。


王都にある冒険者ギルドに逃げ込めば妨害は減るんじゃないの?って思われるだろうけど。

冒険者ギルド職員からしたらダンジョン都市として大成功しているアストのギルドマスターという地位は喉から手が出るほど欲しいものだから冒険者ギルドに逃げたって妨害は収まらないむしろ悪化する。

ほんとあの老害たち早く辞めてくれないかな?

ヒロキくんに余計なちょっかいをかけてぶっ飛ばされれば良いのに。


結局王族と謁見できる時間になるまでのらりくらりと妨害を躱し続けることになってしまった。


「ここならそう言う妨害もないからゆっくりと休んで行ってください」


妨害はないだろうけど。王家のプライベートエリアなんて心から休めるわけがない。

正直一刻も早く王都から出て外で野営した方が何倍もマシだ。


ただ 、帰りは貴族や冒険者ギルドの私に消えて欲しい勢力から刺客が放たれるだろうから今回は野営も大変なんんだけど。


帰ったらヒロキくんに報酬アップしてくれないか交渉をしよう。

シエラはそう心に誓った。


「それはそうとシエラ。ヒロキさんはやっぱり王都に連れてくるのは難しいのかしら?

ラインハルトに色々してくれたお礼もしたいしラインハルトも会いたがっているのよね」


「それに関しては彼次第としか…無理やり連れてくるなんて絶対無理ですし。彼自身その気になれば1人で国と戦える可能性すらあるのに味方に神獣が2名もいるんですよ?国どころか世界が崩壊しても可笑しくないです」


ヒロキくんは理不尽なことで怒ったりはしないけど、怒らせたらまじで世界がやばい。


「それに先日王都から派遣された集団が彼に迷惑をかけてますから、当分王都に行こうということにはならないと思いますよ」


ワンダーマッシュルームを使った新しい薬だから仕方なく作成途中を見せて鑑定することを許可して家に入れたのに、それ以外のものまで勝手に触り出したり言うことを聞かない連中がいて不死鳥様に文字通り蒸発させられたとヒロキくんから聞いている。

王家に倒しての不信感は無さそうだったけど、王都はやっぱり面倒くさそうだって言う印象は確実に上昇していた。


「それについては私にも報告が来ています。

彼が何もしていない職員を突然燃やしたという嘘の証言と神獣不死鳥様の祭壇を無断に触った結果怒りをかって蒸発させられたという二通りの報告を。

はぁ、ほんとにろくなことしませんね。無理やりねじ込んで来た挙句。こんなことまでして」


やっぱりヒロキくんを犯罪者にしようと仕向けた勢力もいたわけか…。

まぁ実際そんなことになったら、じゃあ皆さん俺の敵ってことですね?とか言ってリアウタン王国が地図から消えることになるだけだろう。


「安心してください。しっかり裏取りはして嘘の報告をした者は当然、その者が所属していた場所も処分してあります。ヒロキさんに面倒をかけることは致しません。神獣様の不快をかった挙句嘘の報告をあげてその事実を隠そうとしたと言う大義名分があったので今回の掃除はホントに楽でした」


今回はフランシス陛下が動いたことでひとまずはリアウタン滅亡エンドは避けられそうだと思いほっとする。


「王都に来てくれないのは仕方ないとして、やっぱりお礼は言いたいし直接あって見たいからいっその事私から会いに行くのが良いのかしら?神獣様もいるわけだし。一国の王如きが呼びつけるなんて失礼だと思うし」


最後のは絶対に自分が行くための方便だろう。


「自国民が無礼を働いてしまった謝罪を神獣様にしに行く、うん!これなら行ける。シエラには悪いんだけどこの話を神獣様とヒロキさんにしてみてくれる?向こうがそんなもの不要って言ったらこの手は使えないし」


「わかりました。けどすぐには無理ですよ?」


「アディルには無理を言ってディラスト侵攻軍の本隊と合流してもらってるし、行くとしてもアディルがアストに戻って落ち着いてからよ。レガリアを借りてるお礼も考えなきゃ行けないし…シエラはヒロキさんが欲しがっているもの知ってたりしない?」


こんな感じで命を狙われたり妨害工作を受けることはなかったが、心が一切休まらない1晩を過ごすことになってしまった。



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読んで頂きありがとうございます。


新作投稿初めました。現代ダンジョンものです。


地球「ファンタジーアップデートが適応されました」



https://kakuyomu.jp/works/16817330647913656484












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