第163話
「まずは体を洗っちゃうからね〜」
止まる宿を決めて部屋を確認したあとすぐに別料金で借りれるプライベート専用のお風呂に向かう。
かなり広いしロウリュもあるので別料金を払う価値はあると思う。
ロウリュっていうのはストーブの上で温めた
石に水をかけて蒸気を発生させて湿度と温度を上昇させるタイプのサウナのことだ。
当然入るのは体を洗ったあとということで、先に体を洗っている。
さすが高級宿かなり質の良さそうな石鹸が使えるように置いてあった。
まぁ日本のシャンプーやボディソープの方が質がいいから使わないけど。
洗って上げてると泡が目に入るのが嫌だと言うのでシャンプーハットを被せて髪をわしゃわしゃ洗う。
「よし。洗い終わったからお風呂に先に入ってて」
「はーい」
アイギスは元気にお風呂に走って言った。
コケるぞ〜って注意する前にずっこけたけど。頭が地面にぶつかるより先にちっちゃい龍の姿に戻って頭をぶつけるのは回避していた。
「風呂場はコケやすいから走っちゃダメだぞ」
じゃあ飛ぶとか言いそうだけど一応注意しておく。
はーいという元気だけいい返事が帰ってきた。
早く自分を洗ってしまおう。
アイギスを1人で放置させておくのは若干怖い。
人の姿になれるようになって若干浮かれ気味だからな。
急いで体と頭を洗ってお風呂に向かう。ほんとは髭も剃りたかったけど。髭は明日の朝剃ろう。
お風呂に行くとアイギスが泳ぎ回っていた。
広いお風呂だしそうしたいのも分からなくもない。
俺も小さい時は銭湯で泳いで怒られた記憶があるし。
他に人がいる時は泳がないようにだけ注意しとくか。
てな感じでアイギスに振り回されつつお風呂で体を癒してお風呂から上がる。
なんかいつもの倍ぐらい疲れた気がする。
「スノウエルクって行きで倒したでかいヘラジカか」
宿の晩御飯はスノウエルクというでかいヘラジカの肉を使ったハンバーグだ。
油が少なくてすごくあっさりしている。油が少ないから食感はしっかりしているけど硬いという訳ではなく肉の味がしっかり感じられてとても美味しい肉だった。帰りに追加でスノウエルクを狩って行くのもありかもしれない。
あとは温泉から出る蒸気で蒸した温野菜がサラダとして出てきた。
なんとなく甘さが増してる気がする。なんとなくだけど。
ー次の日ー
「冒険者ギルドから話がしたいと人が来てるか……」
「どう致しましょう。追い返すことも可能ですが」
朝起きてぼーっとしていると宿の従業員が冒険者ギルドから話がしたいと人が訪ねてきていると伝えに来た。
俺になにか依頼を受けさせたいんだろう。
めんどくさいな〜と思いつつ、緊急性の高い依頼だったら受けてもいいかなと冒険者ギルドから来た人の話を聞くことにした。
今ここで追い返しても、ゆっくり街を回ることはできないだろうし。
「かしこまりました」
従業員が帰ってくる前に最低限の身だしなみを整える。
「朝早くからアポもなく突然押しかけてしまい大変申し訳ございませんでした」
謝るぐらいならやらないで欲しいって思ったけど口には出さない。
「それで冒険者ギルドは俺にどんな依頼を受けさせたいの?」
「先日、この街からも見えるイエティの巣になっている山で大きな雪崩が起きまして、その結果イエティ達が人里近くまで降りて来てしまって。イエティによる被害が急増してしまいました。なのでイエティの間引きにヒロキ様のお力をお借りできないかと……」
イエティは全身真っ白な毛に覆われた二足歩行の猿だ。
身体能力は高めだけどしっかりとした遠距離攻撃を持ってないので遠距離から引き撃ちで倒せるのでそこまで強くない。
けど全身に生えた真っ白な毛は保温性に優れていて、それなりの金額で買い取ってくれるはずだ。
保温性に優れてるのもそうだけど。普段は降雪のすごい雪山の奥に暮らしていて、そこまで行くのも大変。それもあってイエティの毛は高級品として扱われる。
そのイエティの毛がわざわざ過酷な山奥に行かなくても手に入るとか割と美味しい依頼だな。
既に被害がでてるみたいだし、口には出さないけど。
「わかった。討伐証明は魔石を持ってけば良いかな?」
「はいそれで大丈夫です。それとイエティはあくまで間引き。数を減らすということでお願いします」
この街の冒険者ギルドからしたらイエティが大雪崩のせいで人里に被害を出し始めてしまったので倒さないと行けないけど。倒しすぎてしまうと来年以降高級品として高く売れるイエティの討伐が出来なくなるかもしれない。
そうなった場合もっと稼げる場所にとこの街生まれの冒険者以外は離れていってしまうかもしれない。
だからイエティを倒すのは仕方ないけど倒しすぎないでねってことだろう。
全くもってめんどくさい。
「まぁ、それも含めて報酬を決めてもらって、ただの口頭で伝えた依頼じゃなくしっかり書面に残す。それが条件だ」
しっかり書面に残しておかないと後で何言われるかわかったもんじゃないからな。
しっかり2部作ってもらって俺の方でも保管しておこう。
こういうのは警戒しすぎぐらいがちょうど良い。この街の冒険者ギルドにどんな人がいるか全く知らないんだし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んで頂きありがとうございます。
読んで頂きありがとうございます。
新作投稿しました。現代ダンジョンものです。
地球「ファンタジーアップデートが適応されました」
https://kakuyomu.jp/works/16817330647913656484
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます