第156話

「そう言えばシエラさんのところに行ったのは特級ダンジョンについても聞くって言う理由もあったのにメープさんを影魔法使いに転職させて満足して話を聞かないで帰っちゃったな」


ファイアードラゴンを倒した報告をしに行くためにアストに帰ってきて一直線に冒険者ギルドに向かっているところでそんなことを思い出した。


今度は忘れないように聞いておかないと。

それにしても微妙に街の空気がピリピリしている気がする。

ダンジョンでなにか起きた?

以上が現れたとかか?とりあえず冒険者ギルドに行けば情報が手に入るだろう。


駆け足で冒険者ギルドに向かった。


「ヒロキ様!丁度良かった。ダンジョンで異常種が現れたんです」


冒険者ギルドの中に入った瞬間受付嬢にそう話しかける。

やっぱり異常種か。


「もう、冒険者は討伐に向かったんでしょ?」


「カエデ様をリーダーとした討伐隊がダンジョンに突入しています」


カエデさんが行ってるなら心配ないだろうそのうち討伐して帰って来るはずだ。


「カエデさんが行ってるなら問題ないよ」


「申し訳ありませんヒロキさん。この子の恋人が討伐隊に参加しているので少し気が動転しているようです」


シエラさんが奥から出てきて受付嬢を落ち着かせる。

恋人が異常種と戦っているとなれば気が動転するのも当然だろう。

カエデさん達は


「そうだシエラさん、空を散歩してたらファイアードラゴンと遭遇したんで討伐したんですよ。それの報告に来ました。素材についてはジュリアナさんがいらないって言った素材を売りますので後日でお願いします」


「近くで龍種同士の戦闘が起こった片方がヒロキさんの従魔の龍種か至急確認して欲しいってほかの冒険者ギルドから連絡が来たんですけど。本当にヒロキさんたちだったんですね。すぐに連絡を返しますので少し待っててください」


あーやっぱり連絡来てたか。

龍種は大きいから目立つ。ファイアードラゴンの咆哮も聞こえてただろうし。騒ぎになって当然か。

今回の報告で丸くおさまってくれると良いけど。


報告してどうなったかを聞かないといけないし。異常種の討伐にカエデさん達が行ってるんだから帰って来るまで待っているから結局冒険者ギルドにいることになる。

アイギスは既にちっちゃくなって俺の頭の上で寝てる。

俺が頭を動かしても上手くバランスを取ってポジションをキープしている。


無駄に器用だなと思いながら、設置してある長椅子に座ってシエラさんが帰ってくるのを大人しく待つ。


「お待たせしました。問題なく連絡も終わりましたよ。後日冒険者ギルドから討伐報酬が出ますので期待していてください」


思ってた流れと違うな。


「正直良くて口頭注意。何らかのペナルティを課されると思ってたんですけど?」


「まぁ確かに街から確認できる距離での龍種同士の戦闘とか勘弁して欲しいですけど。ヒロキさんとアイギスさんがファイアードラゴンと戦闘してなかったら街が襲われていた可能性もありますからね。今度からこう言うことが起きた場合はアストに戻って来てから報告ではなく1番近くの冒険者ギルドで報告していただけると助かります」


ファイアードラゴンはアイギスに振られたうえに俺にしっぽをちょんぎられた恨みを晴らすために俺らのことを追っかけて来て戦闘になったから、俺らがあの辺に行かなければファイアードラゴンがあそこに現れることはなかったんだけど。

それは黙っておこう。


とにかく大きな問題にならなくて良かった。


「あぁ、そう言えば途中でスタローン商会って言う商会の馬車も助けた」


「スタローン商会ですか!?複数の国に店舗を持つ超大手の商会じゃないですか」


「へぇじゃあオウルさんも結構有名だったりする?」


「オウルってここリアウタン王国の統括の名前ですよ!なんでそんな適当にふらついてたら遭遇したみたいなノリなんですか?」


実際そうな感じだったし。

そっかーオウルさんリアウタンにあるスタローン商会の最高責任者だったのか。

珍しいフクロウの獣人だったし……フクロウの獣人?


鳥獣人は浮遊大陸に暮らしているのが基本。

但し、たまに地上に降りて生活している人もいるとか浮遊大陸の情報収集をしているときにボソッっと誰かが言ってた気がする。


「やらかしたな〜。オウルさんともっと仲良くなっておくべきだった」


あの時は普通にお〜フクロウの獣人初めて見た可愛い〜ぐらいの感じで軽く流してしまった。


超もったいない。


「ヒロキさんがそんな事言うなんて珍しいですね。権力とか興味無い感じなのに。オウルさんが凄いタイプだったとか?」


「近いうちに浮遊大陸に行くつもりなんですけど。オウルさんと仲良くなっておけば詳しい話が聴けたなって思ったんですよ」


「あ〜なるほど。なら大丈夫だと思いますよ。アストにもスタローン商会はありますから。オウルさんもヒロキさんとは縁を結びたいでしょうから、待っていればあちらから尋ねて来るかと」


それを待ってるとまた浮遊大陸に行くのが遅くなりそうだけど。

前情報なしで浮遊大陸に行って鳥獣人たちと敵対するよりは全然いいか。


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読んで頂きありがとうございます。


新作投稿しました。現代ダンジョンものです。

地球「ファンタジーアップデートが適応されました」


https://kakuyomu.jp/works/16817330647913656484








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