第131話
「洞窟なんだね。なんかカカオポッド的な魔物が出てくると思ってたからちょっと以外」
てっきりダンジョンの中はジャングルが広がってるとばかり思ってた。
だけど実際は迷路のような洞窟タイプだった。
「カカオポッドの魔物ですか。実が最初っからチョコとか良いですね。今度、メフィルス様に相談してみましょう」
セラフィムさんは今のチョコを手に入れられる魔物が相当嫌いみたいだ。
マジでどんな魔物なんだ?
「ちなみにここの壁を採掘するとチーズ鉱石が手に入ります。鉱石と名前がついてますが普通のチーズなので食べられます」
なんと言うか食材が手に入るダンジョンなんだな。
チーズも気になるけど、先に目的であるチョコと卵を手に入れるべきだろう。
洞窟を進んでいるとダンジョンの壁をつつく鶏を見つける。
ただしその鶏は尾羽が蛇になっているので普通の鶏ではない。コカトリスかな?
ただ、ハーレムクエストのコカトリスはもっと巨大だし、雄鶏に似た姿ではなく足の無いトカゲ、スキンクみたいな姿に龍種のような翼が生えている。
「コカコッコですね。アレの卵がシロナさんに頼まれた卵です」
「コカコッコ?」
「コカトリス・コッコ略してコカコッコです」
随分コが多い名前だ。
「コカトリスと名前が付いていますが魔眼の類は持っていないので目があっても問題ないです。鉤爪やしっぽの蛇の牙に毒も無いので攻撃されても少し痛い程度。但し、嘴でつつかれると、つつかれた周囲が石化しますのでそこだけ注意してください」
コカコッコがつついている壁をよく見ると他の場所と色が違う。あれが石化効果か。
嘴を中心に半径1cmぐらいの円状が1度に石化する範囲かな。
……いくら石化って言ってもそこまで脅威じゃないな。
石化も状態異常だから、状態異常回復ポーションで治るし。
一瞬で全身が石化しちゃうならポーションが使えないし脅威だけど。1回でその程度の範囲しか石化しないなら驚異にならない。
なんかコカコッコ達が可哀想になってきた。
「ところでなんでコカコッコ達は壁をつついてるんだろう?」
「恐らくあの壁の中にチーズ鉱石があるんだと思います。コカコッコはチーズが好物なので」
鳥なのにチーズが好きなの?生態が謎すぎるなコカコッコ。
でも、そのおかげで楽にテイム出来そうだ。
MP交換で適当にチーズを交換してストレージから取り出す。匂いが強い方が釣れるかなと思ってゴルゴンゾーラチーズにしてみた。
すると一心不乱に壁をつつき続けていたコカコッコ達が一斉にこちらを向いた。
「【影縫い】」
コカコッコたちの動きを制限してからコカコッコ達に近づいて行く。
「君たちはこれが欲しいんだろう?もし俺の従魔になってくれたらコレを毎日あげるけど」
コカコッコは人の言葉がわかるほど賢くはないけど。テイムスキルはそう言う魔物にも大雑把ではあるけど理解させられる効果もついている。
コカコッコ達からは一生ついて行きます兄貴見たいな返事が帰ってきた。
大変チョロくて助かる。
「【テイム】」
コカコッコ達を5匹無事にテイムすることがで来た。全員見た目が雄鶏だけどちゃんと卵を産めるらしい。
「今日の分のゴルゴンゾーラチーズだゆっくり食べろよ」
コカコッコ達にゴルゴンゾーラチーズをあげる。
「ゴルゴンゾーラチーズを取り出した瞬間逃げた2人はそろそろ戻って来てください」
セラフィムさんとハルカちゃんは俺がゴルゴンゾーラチーズを取り出した瞬間全速力で遠くに逃げて行った。まぁ、確かに独特な匂いはするけど。そんなにガチで逃げる程じゃないでしょう。
少なくともくさやよりはマシだと俺は思う。
「とりあえず卵の確保は終わったから後はチョコだね」
「それより、ここの壁にはチーズ鉱石が埋まっているのがわかっているんですから、先に掘り出してしまった方が効率的でしょう。チョコもレアという訳ではないので歩いていればそのうち遭遇します」
そう言うことならということでチーズ鉱石を採掘を始める。
ストーンアントの巣穴にある金属鉱脈を自分で掘ることもあるかなって思って買った採掘セットがようやく役に立つ。
あそこは結局、採掘は本職がやってくれるから自分で採掘することはなかったんだよね。
「なんと言うか本当にチーズだね」
壁を掘っていると半径30cmぐらいのロールが顔をだした。
俺がチーズ鉱石を掘り出したことに気づいたコカコッコ達が欲しそうにしてたけど。
さっきゴルゴンゾーラチーズ食べたばっかりでしょと言って却下した。
ごねられるかなって思ったけど想像以上も聞き分けが良くてすぐに引き下がって行った。
「コカコッコ達は壁に埋まっているチーズ鉱石を見つけることができるみたいだし、もし、追加で見つけたらご褒美として少しづつ分けてあげる」
そう言うとコカコッコ達は一斉に奥の方に走っていった。
どこに埋まってるか分からないしチーズ鉱石を集めるのは案外面倒かもって思ってたけど。これなら数を集められそうだ。
1つ見つけるだけでもかなりの量だから、そんなに集める必要ないかもだけど。
だけど、コカコッコたちのご飯にもなるし集められる時に集めておくべきだろう。
「んもう帰って来た。早速見つけたのかな」
そう思ったけど。コッココッコ言いながら走ってくるコカコッコたちの後ろから全身銀色のゴブリンが追っかけて来てる。
どうやら魔物と遭遇して逃げて来たようだ。
「あれがチョコです」
セラフィムさんが全身銀色のゴブリンを指さして衝撃的なことを言い出した。
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