第99話

「とりあえず今回はシンプルな酢飯が中身のいなり寿司にしたけど……」


地味に時間がかかったけど、ようやくいなり寿司が完成した。

味見のためにひとつ試しに食べて見たけど可もなく不可もなくって感じで評価しずらい。


「……さっきから念話は来ないけど、なにか圧力的な何かを感じるし。早くお供えしちゃおう」


九尾の狐様、手作りいなり寿司ですどうぞお納めください。と念じると、目の前からいなり寿司が消えた。

九尾の狐様のところに転移したんだろう。


「これでやっと自分のご飯が食べれる」


時間がかかるから先に食べて良いよって言ったからレインボートラウトが残っているか少し心配なんだよね。


「あ〜やっぱり無くなってる」


キッチンからリビングにかえったらレインボートラウトは綺麗に無くなっていた。


無いだろうなとは思ってたけど、やっぱり実際になくなってると悲しい。


まぁ、釣れる確率をあげる方法を教えてくれるってガネーシャ様が言ってたし。

それが有るからまだ悲しい程度ですんでる。


でもお刺身は食べたいな〜レインボートラウトじゃなくても。


可能性があるとしたらMP交換だなと思って

スマホを確認してみるとマグロの赤身とかサーモンが交換画面に追加されていた。


「そう言えばプルーム王国に行くのは俺、アイギス、鳴神だけで後はみんなこの街でお留守番ね?」


なんとなくだけど。俺がいない間に人間の国がまたちょっかい出して来る気がする。

だからできるだけ戦力は残しておいた方がいい気がするんだよね。

後はサテツに頼んでる玉鋼作りも進めておいて欲しいし。


みんな不服そうにしてはいたけど、人間の国がちょっかいをかけてくるという考えには納得できるようでこの街に残ることを了承してくれた。


「この話はこれで終わり。で、レインボートラウトが釣れやすくなる方法ちゃんと教えてください」


プルーム王国に行く時の話が終わったので本題のレインボートラウトの話に移る。


「話の重さ的にはレインボートラウトの方がどうでも良いんだと思うけどね?

まぁ、ルアーで釣りたいならスプーン使うのが良いんだけど、昨日使っていたのより小さくて軽いものを使うと言いいよ。色は派手な蛍光色系の方が食いつきが良いはずだよ」


「ルアー釣り以外だとどんな方法があるんですか?」


「タラスクの肉のミンチと小麦粉、トウモロコシを混ぜて作った餌を使ってウキ釣りするとルアーより釣れる確率が上がるよ」


ルアーを使って偶に釣れるぐらいでいいかな。なんとなくだけど、美味しいけど量を食べるものじゃない気がするし。

サーモンみたいに。


「それじゃあ3日後、プルーム王国に向けて出発って伝えといて」


その3日間は妖術を保存したスクロールを作ったりとかして、この街が襲われた際の攻撃手段を用意するために使おう。


妖術を保存したスクロールを作るにはただの羊皮紙じゃなくて龍の皮を使った羊皮紙、更には龍種の魔石を砕いた魔石粉が必要になる。

ちょうどタラスクを何体も倒して来たことだし、それを使えば妖術を保存したスクロールを複数用意できるはずだ。


これが無くてもカエデさん1人いればなんとかなる気もするけど。保険はあった方が良いだろう。


その分、ジュリアナさんは加工で死ぬほど忙しくなるだろうけど。


俺は追加で更にタラスクを倒して龍種の素材を集めておこう。


そのついでにレインボートラウトを狙うこともできるし。パニーを連れて行けばキャラレベルをあげることもできる。


話している途中、何度かマグロの赤身とサーモンを強奪されそうになったけどなんとか守りきった。

俺の分までレインボートラウトを食べた人達には1切れだって分けてあげません。


〜次の日〜


予定通りパニーを連れてダンジョンに来ている。アイギスの上に乗ってタラスクだけを手際よく倒している。

やっぱり、飛べるって早いね。

既に3層分のタラスクを討伐したのでストレージには13体のタラスクが収納されている。


今は35階層の池でレインボートラウトを狙うながら休憩している。


「確率が上がったとしてもそう簡単には釣れないんだな〜やっぱり」


釣れたモンスターパーチを血抜きの為に〆てバケツに入れながらそうつぶやく。


やっぱりモンスターパーチやモンスターキャットフィッシュぐらいしか釣れない。

実は10分ぐらい前にレインボートラウトを釣っているので、ガネーシャ様の言う通り確率は上がってるんだろうけど。

何故か俺は釣れない。

そろそろ今日の釣りは終了にしてタラスクを狩りつつ下の階層を目指すかと思いパニーに声をかけようと思ってパニーの方を見ると丁度魚がかかったらしい。


何が釣れたんだろうなと思って見ていたらレインボートラウトだった。


「…ホントに確率は上がってるんだね」


ちなみに今日は2人とも少し離れたところで釣りをしているけど、仕掛けは全く同じスプーンを使っている。

ガネーシャ様のオススメ通りの軽めで派手な蛍光色のスプーンだ。


きっとあれだビギナーズラックとかそう言うやつだなと自分に言い聞かせる。

こうなったら餌を使わないで絶対ルアーでレインボートラウトを釣ってやる。


今日は釣り終わりだけど。



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読んでいただきありがとうございます。




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