第93話
「出来るだけ、痛くするつもりは無かったんだけどな。『招雷』『雷化』『思考加速』」
雷雲がドンドン増えて辺り一帯にゴロゴロと雷が落ちる。
雷化は瞬雷の妖魔混合術バージョンだ。
雷を身に纏うだけで無く、文字通り自身を雷に変化させることができる。
当然ただ纏わせるより早く動ける様になってるけど、本気で移動すると10倍まで思考を加速させても制御出来ないぐらい早いので、
いつもは瞬雷時の2倍ぐらいの速度に抑えている。
思考加速に慣れれば最大100倍まで加速させることができるはずだから練習すれば雷化の最高速度も制御できるようになるはずだ。
ゲームだったらレベル10にするだけで100倍まで思考を加速させることができたけど、リアルだとそうはいかない。しっかりと練習が必要だ。
レベルをあげただけで使いこなせるのは魔法ぐらいかな。レベル9までの魔法の話だけど。レベル10になると自由に魔法を生み出したりカスタムできるようになってしまうので、魔法を使う時のイメージが重要になってくる。
レベル9までは、何も考えずとも魔法名を言えば決まった魔力量を消費して決まった効果を発揮してくれるので、レベル10を目指さない魔法使いも多いらしい。
これに関してはカエデさんが「そんなの魔法のスキルレベルが10まで上げられる上位の魔法使い系のジョブにつけない奴らの言い訳だよ」って鼻で笑ってたけど。
まぁ、でも。確かに当然魔法を使うのにイメージで威力とか魔力の消費量が変わるようになっちゃったら驚くとは思う。
その代わりオリジナルの魔法を使うこともできるようになるわけだけど。
雷化している時は物理攻撃は効かなくなるし、雷属性の攻撃も効かない。
なので、雷がガンガン落ちるなかボーッとピュアドラゴンのことを見ている。
雷を避けようと動き回っているけど、避け切れる訳もなく何度も被弾していいる。
すぐに魔法でダメージを回復させてるから見た目は無傷だけど。回復する度に魔力を消費している。龍種だから魔力量は膨大だけど、このまま回復し続けていたらいずれ魔力切れを起こして俺の勝ちになるだろう。
こっちはこうやって呑気に観戦している間にポーションで魔力を回復させれば良いし。
ただ、それじゃあ時間がかかるし。そんな勝ち方をしてピュアドラゴンが俺のことを認めてくれるか微妙なので、見ているだけでなく更に追撃を加える。
雷の篭手に魔力を流して雷の剣を作りだす。
この剣にも名前をつけた方が良いかな?
この剣もイメージによって形を変えたりしそうな感じがするんだよね。
名前をつければイメージもしやすいだろうし。
なんかいい名前考えておこう。
「雷弧・飛爪斬撃2式」
剣を振り抜くと雷を纏った斬撃が2つ飛んでいく。
剣で直接切る時は数を増やすってイメージが出来なくてダメだったけど。
飛ぶ斬撃を増やすってイメージならなんとなく出来たので試してみたらあっさり出来た。
ピュアドラゴンは雷をどうにかすることに夢中すぎて斬撃に気づかず。
片方は翼を切り裂いて、片方は胴体に深い傷をつくった。
翼を切り裂かれてしまったせいでバランスを崩したピュアドラゴンは地面に墜落する。
雷化状態なので、ピュアドラゴンが傷を治して上空に逃げる前に距離を詰める。
傷ついていない方の翼も切り落としておく。
ピュアドラゴンからしたら俺が瞬間移動してきた様に見えただろう。
いや、龍種の動体視力なら俺の動きも追えてたかもしれないな。
動体視力が良くても龍種の体格じゃこの速度に対処するのは難しいだろう。
余裕で対処できる存在も当然いるだろうけど、ピュアドラゴンには無理だろう。
傷を負ってる状態だし。
「さて、これで大人しくなってくれると良いんだけど…好戦的な目をしてるな〜」
仲間になる予定の子なんだから出来るだけ痛めつけたくはないんだけど…
「ねえピュアドラゴン。俺がここに来たのは君を倒しに来たんじゃなくて、仲良くなるために来たんだよ」
とりあえず、龍種なら通じるかなと思って話しかけてみる。
が全く効果はないみたいだ。
とりあえず、行動で示す必要があるか?
MP交換でエリクサーを交換してピュアドラゴンに浴びせる。
結果、流石に失った部位を再生させるには時間がかかるようで少しづつ再生中だった翼が一瞬で再生する。
ちょっと気持ち悪いって思ってしまった。
ピュアドラゴンは俺がなにかしたのに気づいたようで、何故と言うような目でこちらを見つめてくる。
どうやら少し話を聞いてくれるつもりになったようだ。貯めにためたMPをほとんど使った価値はあったみたいだ。
「今日来たのは、俺の仲間になって一緒に行動して貰えないかなって説得に来たんだ。実力をある程度見せないと話聞いてくれないかなと思って戦闘を始めちゃったけど」
そんな感じで話しかけると、鳴神と同じ鳴き声に思念を乗せて相手に伝える方法を使って
私、外に出られるの?と聞いてきた。
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