第88話

「今回は既に存在するスキルを合成した程度だったのと、直前にアンデッドの大群から街を救ったことに対する感謝が信仰と判断されて神力が増えてたから大丈夫だったけど割と危なかったんだよ?」


知らないうちにかなり危ない橋を渡っていたらしい。

いいことをすると自分に返ってくるって本当なんだな。


「本当は時期をみてゆっくり教えるつもりだったのに、忙しくて目を話している内に無意識でやっちゃうとは思ってなかったよ」


そんなに忙しいんですか?なにか世界が破滅するような不具合でも見つかっちゃった?


「それとは別件。君ちょっと前に人間以外の女性でも使える。ムスコが生えてくる薬を造り出せば、信仰なんてガッポガッポじゃんって考えたことあったでしょ?」


確かにそんな事考えたことあったかも?

まさか……


「それ作ってたから忙しかったんだよね。確かにこの世界でこれ程信仰が簡単に集められる方法は無いよ」


「でも1番頭数が多い人間ますます嫌われますよ?」


メフィルス様は人間からは邪神扱いされているとカエデさんから教えてもらった。

人間が優位にたてていた理由の大部分がムスコが生えてくる薬が人間の女性にしか効果がないからだったのに。

それをぶっ壊す薬を生み出したりしたら……


「確かに人間の数は多いけど。既に信仰されてないから今更気にならないよ。この薬があれば私を信仰してくれている人種が増える訳だし」


あ〜あ、人間はここで滅びる運命らしい。

まぁ、調子に乗りすぎたってことだろうな。

特に悪いことはしていないのにメフィルス様を男神だからって邪神扱いしたのが致命的だったな。

それさえしなければこんなことにはならなかったろうに。


「別に私の手で滅ぼすつもりは無いよ?私はただ信仰してくれてる人種の子達を助ける為にこの薬を生み出しただけ」


そのせいで遠くない未来に人間VSそれ以外の人種って構図の大戦争が起きると思うんですけど。


「まぁ、それで人間が全滅することにはならないと思うよ。流石に無理があるもん、1人残らず殺し尽くすのは。それに人間の国の全てが腐っている訳でも無いからね」


そうなんだ。確かに人間主体の国が1つしかないわけがないか。そして国が違えば対応が違うのも当たり前。

人間全員が腐っているわけではないか。


「まぁ、でも色々巻き込まれることにはなると思うけどね」


ですよね。


「まぁ、頑張って。今回みたいなことが起きないように、こんなスキルが欲しいって私に意見を送れるようにメッセージアプリ的なスキルを追加しておいたから」


どうやらチートスマホのアプリは俺の神力を使ってメフィルス様が作ってくれていたものだったようだ。

ちゃんと俺が死なない様に調整して神力を使ってくれると言うから自分で勝手に試すより安全だしそうしよう。

そして作りたりスキルやアプリが思いつた時相談するためのメーッセージアプリという事だ。


「自分で安全にスキルを作れる様になりたいなら九尾の狐に神力の使い方を教えて貰うと良い。私が教えてあげても良いけど時間を作るのが難しいから時間がかかっちゃうし」


やっぱりいくつもの世界を管理する神様だし忙しいんだろうな。

それにしても自分でスキルを使えるようになるって言うのは中々魅力的だ。

九尾の狐様に早めに会いに行くと言いながら色々脱線しているけど。本腰いれて会いに行くために準備を始めるか。

ここで突然意識が朦朧としてくる。

今回はここまでということだろう。特に抵抗することなく意識を手放した。


「あれ、もう朝か…それに例の薬が手に握られてる」


目が覚めるといつものベットの上だった。

手に握られている例の薬を見る限りやっぱりさっきまでの出来事は夢じゃないらしい。

メッセージアプリもしっかり追加されてるし。送信先メフィルス様しかいないけど。


そしてメッセージアプリと言われるだけあってメフィルス様からもメッセージを送れるらしい。

薬の詳しい使い方が文章で送られて来ていた。


どうやら原液からどれだけ薄めて飲むかでムスコが生えている期間をある程度制御出来るらしい。

それにしても100倍に薄めても1週間は生えたままみたいらしい。

原液のまま飲んでしまったら一生生えたままとかになるのかな?ってちょっと思ったけど

約1年間生えているだけで一生生えたままということはないらしい。


とりあえず。俺はいらないしアディルさんにでもあげるか。

まだ跡継ぎもいないみたいだし、これを使って跡継ぎが産まれたら、アディルさんだけじゃなくて家臣の人たちもメフィルス様に感謝して信仰心を集めることができるだろう。


メフィルス様の信仰心集めを手伝っておけばもしもの時助けてくれるかもしれないし。

使い方を説明するためにメッセージの文章をそのまま見せる訳にはいかないので、紙とペンをストレージを取り出して使い方を書き写した。


朝ごはんの時にアディルに渡してから詳しい説明したら、話を聞いていた人全員が騒ぎ出して軽いパニックになった。

普通は信じて貰えないだろうけど、神獣の不死鳥様も俺は嘘を言ってないって証言してくれたから尚更だったみたいだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る