第62話
「違いは妖術を使った炎で溶かして合金にしたぐらいか」
妖術を使って合金を作ることがヒヒイロカネ合金を作る条件のひとつなのかもしれない。
「まぁ、それぐらいしか。変わったところは無かったからそうなんだろうね。ってなるとヒヒイロカネの合金は九尾の狐様の加護がないと作れないってことだよね」
そう言われるとヒヒイロカネ合金の制作難易度はえげつない難易度だな。
「もしかしたら魔法で作り出した炎で溶かしてもこうなるかもよ?」
魔法でも可能なら難易度はかなり下がる。
「それでも火魔法のLvを10にしている人の協力が必要だし。やっぱり簡単ではないね」
それでも、人種でも魔法金属を使った合金が作れそうとわかりジュリアナさんはかなり嬉しそうだ。
まだ詳しく調べたわけじゃないけど。見た目的には成功してそうな感じするからね。
と言うか鑑定スキルを使えば今すぐに成功か失敗かわかるじゃん。
俺的には成功か失敗かどちらかと言えば失敗してると思うけど。
ヒヒイロカネと金を混ぜること自体は間違ってないけど、まだなにか素材が必要な感じがする。
「サテツ、鑑定スキルで見た感じはどうなってる?個人的には、まだ完成したとは言えない出来だと思うんだけど」
てっきり成功してるだろうと思っていたジュリアナさんが、え?と言う顔でこちらを見る。
「そうですね。ヒヒイロカネ合金であることは間違い無いのですが、完璧なヒヒイロカネ合金では内容です。どうやら素材が足りないようですね」
やっぱり。素材ってなんだろう。伝承にあるヒヒイロカネ合金は火に対する親和性が凄いらしいし。火に関係する素材かな?
なにかこれだ!って思うものないかなと何となくMP交換の交換リストを見ると、今日のおすすめ交換品のところに『玉鋼を作ろう』
と言う本が追加されていた。
今日のおすすめ交換品のリストは面白いものがないか毎朝確認してるけど、今朝はこんな本リストになかったはずだ。
と言うか著者が九尾の狐って書いてあるし。
玉鋼が完璧なヒヒイロカネ合金を作るための材料ってことだよねきっと。
じゃなきゃこのタイミングでこの本がリストに追加される意味がないし。
「ですがこのヒヒイロカネ合金でも
火魔法、火系の妖術の威力2倍消費魔力半減の効果がついた装飾品を作れるみたいですよ。ただし、それ火系以外の魔法妖術の威力が0.8倍。消費魔力は1.2倍になってしまうデメリットもあるようです」
火系だけで戦うならかなり有用な装飾品に加工できるみたいだ。
それに初めて妖術に対しても効果のある装飾品だ。
この世界には妖術に対しても効果のある装備があることが証明されたな。
となると、妖術に対して耐性を持った装備もありそうだし、妖術を過信しすぎるのは危ないかも。
そう考えると雷魔法をLv10まであげたのはスクロールの作成以外にも役に立つ機会がありそうだ。
「サテツ、完璧なヒヒイロカネ合金を作るのに必要な最後の素材は玉鋼っぽい」
そう言ってサテツに『玉鋼を作ろう』を手渡す。
「これは工程が多いですね。専用の設備も必要だからそれを作るための場所の確保も必要ですし。高品質な炭の確保砂鉄の確保、設備を作るための石材集めから始めなきゃいけないと考えると、ほんとに大変ですね」
サテツはパラパラと本をめくって確認する。
玉鋼を作るのも工程が多いし、玉鋼を作るための材料、施設を作るための材料集めまである。
やらなきゃいけないことが多いよな〜。
忘れそうになるけど、今ここに居る理由って
プルーム王国に行くための足を手に入れるために龍種をテイムしに来たんだよな。
あんまり時間をかけるとイリスさんに文句言われる。
プルーム王国の近くに九尾の狐様の祠がなければ、行く理由なんかないんだけどな。
この街が割と暮らしやすいし。
さっさと龍種をテイムしてイリスさんをプルーム王国に送って九尾の狐様の祠の試練をクリアしてこの街に帰ってくる。玉鋼を用意して完璧なヒヒイロカネ合金を作るのはそれからかな。
それとイリスさんがこの街に来ているかアディルさんに後で調べてもらおう。
男連れのエルフなんて目立つだろうから街にいるなら直ぐに分かるだろうし。
でもな〜。何が起こるのか分からないし、妖術の威力を上げてくれる装備を時間をかければ用意できるのに、時間がないから後回しって言うのは勿体なく思えてきた。
イリスさんに雷魔法Lv1と魔力操作Lv1を渡して、このダンジョンでジャスのレベル上げをしたらどうだ?って言って時間を用意するか?
一階層~十階層と言う広範囲で現れるバイコーンは雷魔法Lv2のスキルの宝珠をドロップする。
ジャスに雷魔法を使えるようにしてやれば、Lv上げと宝珠のドロップ狙いでかなりの時間を稼げるんじゃないか?
なんで彼奴ら相手にそこまでしてあげなきゃいけないのがちょっとムカつくけど。
まぁ、必要経費か。
いや、龍種をテイムするって言うんだから1ヶ月ぐらいはこんな餌をぶら下げなくても文句を言ってこないだろう。
その期間で完璧なヒヒイロカネ合金が作れなかったら実行するか。
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