第63話
「サテツ、玉鋼を作るのに必要なものを集めるのにどれぐらいの時間がかかると思う?」
「素材に関しての知識はあっても産出地については分かりませんので、私にはどれぐらいで集まるのか目処がたちません」
サテツは俺と一緒でこの世界に来て数週間しか経ってないんだから当然か。
こう言う質問はジュリアナさんにするべきか。
錬金術師だから素材がどこで採れるか詳しいはずだし。
玉鋼についての本をジュリアナさんに見せて、これを作るために必要な素材を集めたいんだけどどれぐらいで集められるか質問した。
「砂鉄はこの街の近くで採れる場所が有るけど、この玉鋼を作るのに適した砂鉄なのかは判断できない。だから集めても上手くいかない可能性もあるけど。1ヶ月半有れば全部の素材を集められるかな。あっ、でもこの街のダンジョンの15階層と32階層で木と粘土は良質なものは手に入るし。それをヒロキくんが自分で採って来てくれるなら1ヶ月ぐらいで集まるかも」
龍種をテイムする為にダンジョンの攻略を進める必要もあったし、ちょうど良いな。
ストーンアントの巣穴から手に入る宝箱は気になるけど今回は諦めるか。
俺が強くなるのに1番重要な魔石は売ってもらえることになってるし。
でも、アディルさんに巣穴の攻略をする約束しちゃってるからな。
そこら辺どうするのか後でアディルさんに相談しよう。
とりあえず。今日、鍛冶場でやることはこれ以上ないだろうということで片付けをしていると、ハンゾウがそろそろ晩御飯の時間だと呼びに来た。
そう言えば。ダンジョンから帰って来て直ぐに鍛冶場に来ちゃったから全身汚れたままだ。
この状態でご飯を食べる訳には行かないけど今からお風呂に入ってたらみんなを待たせちゃう。
仕方ないので光魔法が使えるようになる付与がついたコバルトの装備品をサテツに装備させて、ピュリフィケーションで体を綺麗にした。
体が綺麗になるのは間違いないんだけど。
気持ち的にお風呂に入って石鹸で洗った方が綺麗になった感じがするから出来ればお風呂に入りたいけど。今回は自分のせいなので仕方がない。
ピュリフィケーションで体を綺麗にした後リビングに移動する。
今日の主菜はデミグラスハンバーグみたいだ。
俺はご飯で食べたかったけど、マッシュポテト見たいなのかフランスパン見たいのが主食らしい。
アディルさんがいるから米は使わない方が良いだろうというカワサキの気遣いだろう。
お米以外にも今日の料理はこの世界では一般的なものしかない。
いちいち説明されるの面倒臭いからね。
でも、結局お米が食べたくなってアディルさんの前でも普通に食べ始めると思うから、気にしないで好きに料理を作って良いって言っておこう。
「私の今受けてる報告の中にヒロキくん以外の男性がアストに入ってきたって報告は受けてないな。報告が入ったら改めて伝えるよ。それとストーンアントの巣の攻略より先に進むことを優先したいって言うのも問題ないよ。寧ろそっちの方が有難い」
いつ、巣の再生が始まるか分からないので今見つかっている鉱脈の採掘に集中したいというのが理由みたいだ。
俺がこのままストーンアントの巣をドンドン攻略していくと1箇所辺りの人員がドンドン少なくなって、結果的に満足の行く量を採掘する前に巣の再生が始まってしまう可能性が出てきてしまう。
だったら、どのぐらいで再生が始まるのか検証も兼ねて今見つかってる鉱脈に集中するべきってことだな。
「助かりました。依頼を受けると言ったのにその日のうちにダンジョンの攻略を進めたい理由ができてしまったので」
「それが帰ってきて直ぐに鍛冶場に籠った理由かな?」
中々鋭いな。まぁ、特に隠れて鍛冶場に行ったわけじゃないしバレるか。
「ヒヒイロカネの活用法がわかったんですよ。それに必要な素材がダンジョンにあるみたいなんで先に進むことを優先したくなったんです」
とりあえず。ヒヒイロカネの方はある程度バラしてしまうことにした。
そうすることによってコバルトとミスリルの合金の方を隠すためだ。
今まで使い道が全くなかったヒヒイロカネが火魔法を使う人なら是が非でも手に入れたい装飾品の素材になる。なんて中々のインパクトだろうし、当分コバルトの方の存在は隠せると思っている。
「へぇ〜ヒヒイロカネの使い道が。レアな魔法金属なのに石ころと変わらない価値しかないとまで言われているあの金属の使い道ねぇ。ジュリアナ実際どうなの?」
アディルさんは一緒に鍛冶場にいたジュリアナさんに本当なのか確認するために声をかける。
「まだ完成品ではないけど。既に火魔法使いなら何がなんでも欲しい効果を持っている合金だったよ。あれで完成品じゃないって言うんだから驚いちゃうよね」
「そこまでの性能か」
「最低でも火魔法がLv10になってる人がいないと作れないから簡単には作れないけどね」
この世界には火魔法をLv10まであげれてる人は少ないだろう。
女性が火魔法をLv10まであげるにはカエデさんがついてるソードマスターと同レベルのジョブ上級火魔法使いにならないといけないからね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます