猫になりたい少女

によ

猫になりたい少女

カーテンの隙間から光が差し込む。

朝がきた。

今日も朝まで眠れなかった。

夜のうちに今日一日で吸ったタバコを数える。

「肺が、真っ黒けになっちまう」

一人の部屋で呟く。

朝日が昇ると安心するから眠くなって、夜は不安で寂しいから眠れなくて。

私の体はいつの間にかおかしくなってしまった。

今日も午後からバイトがあるし、バイトが終わったらバンドの練習がある。

考えなきゃいけないことだって毎日沢山あるはずなのに、何にも考えてはいない。

考えてないから、からっぽで寂しい。

とりあえず棚からニードルを取り出して、ピアスを開けた。

少し痛いけれど、それよりも穴の開いた耳が可愛い。

それから箱にあと一本だけ入っていたタバコを吸う。

鳥がちゅんちゅん鳴いている声が聞こえる。

キッチンのコンロでタバコに火をつけた。

外は気持ちの良さそうな天気だったからベランダに出てみた。

一階だから景色は良くないが。

ベランダに出ると、目の前の花壇で綺麗に咲いている花を踏みつけて黒猫が堂々と寝ていた。

「お前、気持ち良さそうだな」

私は猫に話しかける。

猫は少し目を開けて「にゃぁん」と言った。

「ああ、猫になりてえ」

私が羨ましそうに猫を見続けると、居心地が悪くなったのか、猫は私を睨んでどこかへ消えていった。

私はタバコの吸い殻を花壇の方に投げてから、部屋に戻り眠りについた。

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猫になりたい少女 によ @niyo

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