*設定資料

▽ 登場人物紹介

 ◇…キャラ説明

 ※…作者コメント


 ネタバレがありますので、本編読了後に見ることをお勧めします。


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主人公

【ファニーシュ=リャーナルド】


◇リャーナルド家の長女。伯爵令嬢。十五歳。菜種色の髪を肩口で切りそろえている。百群色の目。


 八歳相当の幼い見目をしており、小柄でふっくらした肉付き。純粋無垢で元気いっぱいな性格。綺麗なものが好き。服装は派手でくっきりはっきりした色味のものを好む。良かれと思って余計なことをするタイプ。基本的には善人だが……。


 奇病・蔦葉病を患っていたが、いつからか聖女病へと移行していた。それゆえに罪に対して敏感で、特に身内に対しては『罪を犯してほしくない』という思いから先んじて欲しがった物を譲ったり、前もって窘めたりする癖がある。しかし身内が罪を犯してしまうと罰する事に傾向し、自覚しようにも本人でも止められない程の異常とも思えるほどの殺意を見せてしまう。


 悪魔との契約以前は、巻き戻る度に記憶は消えていたものの、薄っすらと残っていた事から、些細な事でパルフェに対して因縁をつけるようになっていく。


 本作の主人公です。前作に比べると、あまり思慮深くもなければ、礼儀正しさもありません。ただ、自分の好きなものを守る為には他者を攻撃できるという点においては、(前作主人公と比較して)動かしやすいキャラクターでした。

 ファニーシュは元々、悪役令嬢ものでたまにある、

『狡猾な人間に貶められたけど、時間が巻き戻ったなら二の轍は踏みませんわ! 何故ならわたくしは優秀で、尚且つ周囲には超有能な人間しかいないから!(なんで貶められてんだコイツ) 嗚呼~、馬鹿な敵ばかりで楽勝ですわ~! イケメン囲って幸せになりますわね!!』

 ……というのを、逆にしてみたらどうだろう? という考えから生まれた人物です。つまり、

『実際に馬鹿なことをしたから正攻法で裁かれたけど頭に来ますわー! 正直自分は優秀とは言えないし、周囲にも頼る人間はいないし悪魔召喚(禁忌)にでも手を出してみたら悪魔にも騙されましたわ!! キーッ!』

 ……というキャラです。まあ、あんまりおバカだと筆が進まなかったので、一応記憶力はあるし、人の心に寄り添おうとする優しさは持たせました。書いている内に割と好きになったので、変わらない性格のまま幸せにできないかなぁ、と色々捻じ曲げたラストとなりました。まあ、願っていた『妹が笑ってくれる事』は達成できたし、いいんじゃないですかね。パルフェさん大爆笑してますよ、多分。


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大天使の加護を持つ者

【パルフェ=リャーナルド】


◇リャーナルド家の次女。伯爵令嬢の十四歳。プラチナブロンドのストレートヘア。百緑色の目。


 儚い印象の美人で、細身。落ち着いた印象で、また完璧な令嬢としても名高い優美な所作をするが、これらは物心つく前から教育されてきた賜物。


 ネガティブで、ヒステリックになりやすい。思慮深いように見えて浅いところがあり、度々失敗を繰り返してきたことからかなりの心配性な性格をしている。


 生まれた時から大天使の加護を受け、十五の誕生日に神の下に向かうことを運命づけられていたと同時に、『教会創設者の男性が闇の中に新たな世界を作り、闇に落ちた魂を反転させることで保護している』という本来であれば知りようが無い知識を獲得している。


 神に対して無作法な事が無いように、と厳しい教育を受けており、精神的にかなり疲弊していた頃、教会で出会った姉・ファニーシュを天使(教典的な意味でなく、自分を救ってくれる、甘やかしてくれる存在)だと縋りついていた。


 姉を悪魔にさせない為、神に祈って時間を巻き戻していたが、肩代わりしていた姉の穢れにより、身も心も限界を迎えてしまった。


 主人公の妹ですね。前述の通り、悪役令嬢ものをベースにしているので、パルフェはいわゆる、『健気で愛される正規ヒロイン』ポジションです。

 悪役令嬢ものだと、それは表の顔で猫を被っており、実はあくどい性格をしていて……というキャラ付けをされている作品もいくらか見て来たのですが、ここは素直に『姉を慕っている、真面目な妹』にしています。

 パルフェはパルフェで、ファニーシュとは別ベクトルのお馬鹿さんではありますが、十四歳の、あと数か月で死ぬことを決められた女の子の最期の悪あがきだと思ってもらえれば幸いです。

 名前の由来は完璧な(仏:parfait)から。


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物語の起点

【エオル=ディアンヌ】


◇ディアンヌ公爵家の次男。十六歳。黄赤色の髪、桃花色の目をしている。


 清らかな魂は対面した多くの者が好意的感情を寄せる為、生まれた時点で(神に対して懐疑主義の)両親の手で、そう見えるよう偽装されている。当人に自覚は無い。


 ファニーシュの婚約者。信仰治療にたいして懐疑的で、奇病を克服した奇跡に興味があり、ファニーシュとの婚約を受け入れたという経緯から、リャーナルド家の令嬢であれば相手は誰でもよかった様子。ファニーシュに対して恋愛感情は無いものの、婚約者として、未来の夫として接するように心がけていた。


 いわゆる『悪役令嬢の婚約者であり、悪役令嬢を断罪するヒーロー』ポジションです。ただ、本編では寧ろ一歩引いた良識ある人間で、巻き戻りが解除された時にその役目を果たした感じでしょうか。もしも一度目の人生でファニーシュに咎の証が浮かばなければ、恋愛感情こそないにしても夫として彼女を支えてくれたことでしょう。

 彼が巻き戻りが終わった世界で『ファニーシュの近くは気分が悪い』と言っていたのは、リーヴィと同じくぼんやりとですがこれまでの記憶があったせいです。思い返すと、『一目惚れした相手を目の前で刺される』『婚約者は何度も何度も牢に入れられる』『好きな人は神の下へ行き、尊敬した相手に咎の証が浮かぶ』等々、なんとなく覚えているエオルからすれば『この女の近くだと嫌な予感しかしない!』と思うのも仕方ないかな、と。

 でも大概、主役の二人が狂ったのは彼のせいでもあるので、責任はとってくれ、という思いで最後まで巻き込みました。

 本編にちらっと登場した彼の両親ですが、『神に支配されるばかりでは駄目だ』という初代当主の考えから『神を名乗っているだけで、あれは本当の意味で神ではない』としており、エオルもまたその思想に影響を受けています。

 そして実際、あの世界において神として振舞い、加護を与えては魂を貪り、人の肉体を変えて喜んでいるアレは神ではありません。作中世界は、よくない“何か”に支配された世界なのです。


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最後の記録者

【リーヴィ=リャーナルド】(旧姓 シティアック)


◇リャーナルド家の後継ぎとして、親戚であるシティアック家からやって来た養子。ファニーシュ、パルフェの義弟。十四歳。金髪碧眼で、表情は硬め。


 歳の割に聡く、また落ち着いており、冷たい印象を持つが、甘えたがりの泣き虫な面がある。現在の家族のことが大好きで、ファニーシュのことも『アホだなぁ……』とは思いつつ(口にもしつつ)も、次期当主として家族を守る為に勉強に力を入れていた。


 全ての巻き戻りにおいて、リャーナルド家の秘密、ひいては神の隠し事や悪魔の成り立ちを知ることになるタイミングとファニーシュに咎の証が浮かぶ事件が重なっている為、若干情緒不安定気味。


 エピローグは彼が残した手記の一部。


 これまた悪役令嬢ものでたまに見かける、『悪役令嬢である主人公に冷たい身内』ポジションです。ただまあ彼が冷たいのは、単純にファニーシュが彼の進言を理解できていなかったり、彼があきれ果てていたり、諦めていたりするのが原因で、基本的に姉弟仲は良好です。

 エピローグで描いた彼は、パルフェとファニーシュによって何度も何度も巻き戻っては心を痛め続けた影響から心神喪失状態に近く、飛躍した思考をしてしまいがちになっています。

 エオルと喋っていただけでファニーシュにキレられ祖母のドレスを汚された少女に次いで、主役姉妹の被害者ですが、全てを供物に捧げて行なった悪魔召喚で、きっとフルゥがファニーシュを連れて現れたでしょうから、まだ救いはあった方かもしれません。


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真実を暴いた危険者

【エジー=ジルド】(旧姓 フィリウム)


◇ファニーシュの大叔父にあたる男性。七十三歳。


 教会隣にある旧リャーナルド邸の住み込み管理人をしている。元々はフィリウム家の次男以下で、継ぐものが無い為、家を出て新聞記者として働いていた。姪であるファニーシュの母の嫁ぎ先を、好奇心から調べた事で“清き一族”の一員に組み込まれた。


 一応貴族教育は受けている為、最低限の作法は出来るものの、庶民と関わる事も多いせいか若干粗雑な印象のある動きをする。


 ファニーシュに家以外で知識を得る場所、として用意したキャラクターです。

 良かれと思って姪っ子の嫁ぎ先を調べたら、神様の秘密を知ってしまった挙句に、好きでやっていた仕事を辞めさせられ、家名を捨てさせられ、監視されながらの生活を送らざるを得なくなってしまった、大分可哀相な経歴の持ち主です。エピローグでは数行で済まされた為描写できませんでしたが、旧邸が燃えた事で亡くなっています。

 世の中には知らない方が良い事もあるってこったな。


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神の代弁者

【神父】


◇ベル教会の神父。三十二歳。


 魂の穢れや加護などを詳細に知ることができる才能を持ち、また穏やかで人当たりの良い性格をしていることから、聖職者であることが天職だと自他ともに認める人物。教会の大元となる団体からもその実績を認められ、侯爵位と同等の権威を持つ。


 一般的には神の代弁は神の怒りを買うとされているが、不思議と彼に関しては神の代弁を行っても(おそらく、神の思いとのズレがない)怒りを買う事なく過ごせている。


 酒に弱く、匂いだけでも酔ってしまう他、悪魔の力に対して異常に打たれ弱い。魂が穢れる行いをすると全身が痛む体質の為、たまに動きがぎこちない時があるとか。


 名前を考えるのが面倒くさくて、一貫して“神父”でと押し切ったキャラクター。なので名前は決まっていません。

 エオルの紹介文でも書きましたが、この世界を牛耳る神は“良くない何か”の為、それに付き従っている彼の方が、我々基準で言うところの悪魔なのかもしれませんね。

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