嘘を付くな!
「月はみかんなので食べると美味い。アポロ11号のニール・アームストロングは私にとっては小さな1口だが人類にとっては大きな1口で有ると言っている」
「佐藤」
「12号のジム・ラベルは月に降りた時ウーピー! と言った」
「佐藤」
佐藤 山本が【たのしい昆虫図鑑】を読みながら淡々と話している。
そして俺こと山本 佐藤はそんな佐藤の雑な嘘にイライラしている。
「どうしたんだ佐藤」
「どうしたんだじゃない。雑な嘘をつくな」
佐藤がクイッとメガネを押し上げ、図鑑を閉じる。
「ジム・ラベルの話は嘘じゃない。ついでにその後ニールにとっては小さな1歩でも、俺にとっては大きな1歩だぜー! とも言っている」
「……そうだったのか」
俺の知識が浅いばかりに、佐藤を疑ってしまった。貴重な仲間だと言うのに。
「ちなみに、嘘だ。ジムはそんな事を言っていないし、そもそも月には降りていない。あと12号でもない」
「嘘を付くな!」
「エピソードに関しては、嘘ではない。全てピート・コンラッドの話だというだけだ」
「……そうか」
佐藤は【たのしい昆虫図鑑】の続きを読み始めた。
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